『X-ファイル』ジリアン・アンダーソンの経験
1993年から2002年、そして2016年から2018年にかけて放送され、映画版も2本制作されたほどの大ヒットシリーズである『X-ファイル』は、ジリアン・アンダーソン演じるFBI捜査官のダナ・スカリーと、デイヴィッド・ドゥカヴニー演じるフォックス・モルダーのコンビが活躍する超常現象ミステリー。
今ではドラマ『ザ・クラウン』や『セックス・エデュケーション』、そして舞台作品で活躍するジリアンは、『X-ファイル』で一躍トップスターとなった。
しかしジリアンは、テレビドラマでのキャリアは自分的でないと感じており、本作に出演している間には成功を感じられなかったと、過去に明かしている。さらに、大きなショービズの業界の悪いところに嫌気がさしたことも原因で、本シリーズが終了したと同時に、故郷のイギリスへ帰国。
とはいえ、その後様々な作品へ参加したことで、現在では『X-ファイル』も良い経験だったと感じられているそうで、今でもデイヴィッドと親交がある。しかしやはり当時の思い出には苦しいものが多いのか、米Hollywood Reporterの企画で他の女性俳優たちと話した際に、シリーズの撮影中は何度もメンタルブレイクを経験したと話した。
「『X-ファイル』の9シーズンの間に、そういったことは経験した。精神的に少し崩壊することが何度もあった。最後には話せず、見ることができず、画を見ることもできず。できなかった。すぐに他の国の劇場で浸る必要があった。そして少ししたら、役をふたたび大事にすることができるようになる。でもそうできる時には、自分自身を分断していて、キャラクターの写真を、それはまったく別の人物かのように見ていた。そしてあれほど長い間、自分自身を完全に入り込ませると、影響がでないなんてことはない。その行為にはもちろん影響がつきものだよ」
自分が演じたキャラクターが、世界中で愛されるキャラクターになるということには、喜びもあるはず。しかし長年にわたって演じ続けるということには、役者の心に大きな負担をもたらす。とはいえ、それはジリアンがそれだけ真剣に役と向き合ったということでもあり、このエピソードは彼女の役者としての情熱を感じるものにもなった。
(フロントロウ編集部)