実体験に基づくドラマ『I May Destroy You』
ミカエラ・コールによるドラマ『I May Destroy You(原題)』が、非常に高い評価を受けている。2020年に、イギリスのBBCとアメリカのHBOによって制作された本作は、ミカエラが脚本、主演、共同監督を務めた。
ミカエラは、レイプ被害に遭った過去を公表しており、本作はその実体験に基づいている。
彼女が演じた主人公アラベラは、ロンドンに住むツイッターで人気の作家。次回作の締め切りに追われるなか友人と出かけた彼女は、翌日に、前夜に何があったかを思い出せずにいた。そしてその夜を思い出すなかで、彼女は、自分の友人、家族、キャリア、恋愛、人生について考える…。
『I May Destroy You』に寄せられる絶賛の声
2021年のBAFTA TVアワードでミニシリーズ部門作品賞と主演女優賞を受賞した本作について、英The Guardianのルーシー・マンガンは、「『I May Destroy You』は驚くべき、美しき、わくわくするドラマだ。分かりやすい説明が欲しければ、それは性的同意についてのドラマということになるが、これはそれよりもっと、もっと大きなもの」と評し、星5つの最高評価をつけている。
本作に対しては他のドラマ制作者も舌を巻いており、2021年のゴールデン・グローブ賞で本作がスルーされ、賛否両論を巻き起こしたドラマ『エミリー、パリへ行く』がノミネートされた時には、『エミリー、パリへ行く』の脚本家であるデボラ・コパケンが、『I May Destroy You』がノミネートされなかったことは「間違っている」と言い切ったほど。
性的同意やレイプについて扱った本作では、セックスシーンやキスシーンといった親密なシーンの撮影で俳優たちを守るインティマシー・コーディネーターを起用し、ミカエラはBAFTA TVアワードの受賞スピーチで感謝の言葉を述べた。
その後ミカエラは、プレスルームで、『I May Destroy You』の制作や評価について、溢れる思いを口にした。
「少しエモーショナルになっています。これは驚くべきことです。これは、私が苦労したことを克服するのに役立ちました。この作品によって、非常に悲惨なことと、非常に美しいことを組み合わせるということができるようになりました。ドラマを作り、機会を作り出し、それを作り出すためにみんなの才能が一緒になるところを見た。それが助けになりました。悪い記憶が、本当に良いものに取って代わった」
『I May Destroy You』は今のところ、日本未上陸。日本からも見られるようになることを期待したい。(フロントロウ編集部)