マクドナルドで親子が放置、その理由は?
アメリカのフロリダ州で10歳の娘を育てているブレンダは先日、マクドナルドの店舗を訪れて食事を購入。娘はハッピーセットを頼んでいたそうで、商品が用意されるのを待っていたが、30分間も放置される結果になったと、米WINKが伝えている。
30分待った後、商品か、少なくとも返金を求めたブレンダを、店舗のマネージャーは追い払ったという。なぜそのようなことが起こってしまったのだろうか?
そこには、ブレンダと彼女の娘が、ともに聴覚障がい者であることがあるという。
生まれつき耳が聞こえないブレンダは、もちろん過去にも手話を使えない人に数多く出会ってきたと話す。しかし今回の件が彼女を大きく傷つけた理由は、マネージャーがとても強い態度であったことに加え、当時現場にいた人が、誰1人として助けようとしてくれなかったこと。
「人々は私のことをジロジロと見ていて、とても恥ずかしかった」と、当時の心境を話す彼女は、店を出た車の中で泣いてしまったと明かした。
新型コロナウイルスによってほとんどの人がマスクをしていることは、感染症対策には不可欠だけれど、手話以外では、相手の口や唇の動き、顔の表情を見て話している内容を理解している聴覚障がい者にとっては、コミュニケーションに困難が生じている。
パンデミックが起こったばかりの2020年4月には、イースタン・ケンタッキー大学で聴覚障がい者教育を学んでいる大学生が、透明なプラスチック素材を縫い合わせて口元が見える布マスクを考案して話題になった。しかし多くの場所では通常のマスクが使用されているため、コミュニケーションの問題は残っている。
また、ブレンダは、マネージャーは紙とペンを使ってコミュニケーションを図ろうということもしてくれなかったと話した。
その後ブレンダの元にはマクドナルドから食事と返金が送られてきたそうだが、彼女の父親は、これを機に聴覚障がい者とのコミュニケーションに関するトレーニングに取り組むよう呼びかけた。
(フロントロウ編集部)