7月16日公開の『プロミシング・ヤング・ウーマン』
インディペンデント系映画でありながら、第93回アカデミー賞で5部門にノミネートされ、エメラルド・フェネル監督が脚本賞を受賞した『プロミシング・ヤング・ウーマン』が、ついに7月16日に劇場公開となる。
医学部に通う“有望な若い女性（Promising Young Woman／プロミシング・ヤング・ウーマン）”だったキャシーは、ある事件から大学を中退。カフェの店員として働いている。しかし夜になれば1人でクラブやバーへ向かい、泥酔したふりをして、酔った女性をお持ち帰りしようとする男たちに復讐していく。そんな日々のなかで、大学時代の同級生であるライアンと再会したキャシーは、その心に変化が生まれるが、あることをきっかけにふたたび復讐劇の幕が開く…。
キャリー・マリガンとボー・バーナムが語る魅力
性暴力をテーマにしたシリアスな作品でありながら、カラートーンはカラフルで、そのBGMにはブリトニー・スピアーズやパリス・ヒルトンの名曲が使われている本作。フェミニストであるエメラルド・フェネル監督は、これまでに焦点があたりがちだった分かりやすい犯罪ではなく、女性が生きる日常を描いたと、主演のキャリー・マリガンは評価する。
「女性が経験してきたあきらかな暴行や、極端な権利の侵害を描いた作品ではない。当たり前になっていたことに着目している。私が関心を持ったのは、女性に日々起きている出来事が描かれている部分。社会で暮らしているなかで見過ごしてきたことがある」
そんなキャリーを現場で笑わせていたのが、物語のなかで重要な存在となる“良い男性”ライアンを演じたコメディアンで俳優のボー・バーナム。
そんな彼は、インタビューのなかで、「一般的にシリアスな映画と娯楽映画というのは互いに相いれない存在であることが多い」と指摘したうえで、「（本作は）先の読めない展開に何度も驚かされるから、スリラー映画のように見ることもできる。だから楽しんで見てもらえたらうれしい。内容は深いけど、映画の楽しさは一切減っていない」と、アカデミー賞を受賞したフェネル監督の才能を称賛した。そして最後に、ボーは本作が持つ重要な視点を指摘する。
「男目線では知ることのできない、女性から見た男という存在が描かれている」
映像業界において、女性監督や女性脚本家が活躍の場が与えられてこなかったことは問題となってきた。そしてそれはつまり、そのなかで女性から見た男性という存在が描かれてこなかったことを意味する。
女性が生きるリアルな日常が映し出されたことも重要な要素だが、ボーが話すとおり、女性から見た男性という存在が描かれたことも、大きな功績と言えるのではないだろうか。
性別にかかわらず全ての人が見るべき『プロミシング・ヤング・ウーマン』は、7月16日より全国ロードショー。
（フロントロウ編集部）
