映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』でアカデミー賞脚本賞を受賞したエメラルド・フェネル監督が、映画のテーマやこだわった設定などについて語るインタビューが解禁された。

レイプ文化に復讐する映画をエメラルド・フェネル監督が語る

 映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』は、ある事件をきっかけに医大を中退して今はカフェの店員として生活する30歳目前のキャシー(キャリー・マリガン)が主人公の映画。夜ごとバーやクラブにひとりで繰り出し、泥酔したフリをして、自らに課したミッションを遂行していたキャシーは、大学時代のクラスメートで現在は小児科医となったライアン(ボー・バーナム)と偶然の再会を果たしたことで、恋に落ちるとともに、同時に地獄のような悪夢へと連れ戻される。そして、キャシーの親友の未来を奪った悲惨な事件に関わったすべての者への復讐心をも覚醒させることになる...。

 「学生だった10年前は当たり前だったけど、今考えるとひどいことが許容されていた。性別関係なく自分の周りの人を見ても思い当たることが出てくる。それらを集団として許容してきた経緯を紐解いてみたかった」

 そう本作の着想を明かしたエメラルド・フェネル監督は、「普通の女性が現実世界で復讐するなら、どんなやり方があるかを映画にしてみたかった。銃で戦う復讐劇よりひと味変わっていると思う」と、スリリングな復讐劇とラブコメディブラックユーモアたっぷり描いたジャンルレスムービーについて語った。

 映画では、社会のなかで“よくあること”や、私たち一人ひとりが“普通”だと思っている行動や考え方がレイプ文化の一部になっていることが描かれている。そのためには映画に悪者がいないことが重要だったとして、「この映画には悪者はいないということは強調したかった。映画に登場する男性も女性も、セックスに対する意識やそこに至るまでの姿勢が少し怪しい文化の一部分に過ぎなかっただけ」と監督。だからこそ、キャシーが復讐するために会いに行く人々に「筋の通った言い分」があることにこだわったそうで、「全員にまっとうな言い分があるように、それぞれの設定にはかなり気を配った」と話す。

 「登場人物が過去に犯してきた過ちは、いつの時代も繰り返されてきたこと」と語り、「誰もが許容してきたのに、なぜバツが悪いのか」という疑問を観客に問いかけることがこの映画の目的だとした監督は、その上で、「結末や主人公の使命に対する捉え方が人によって違うことはいいことだと思う。映画の後で意見をぶつけ合ってもらいたい」と、本作の存在意義に期待を力強く述べた。

 映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』は7月16日より全国公開。(フロントロウ編集部)

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