『プロミシング・ヤング・ウーマン』劇場公開中
性犯罪に復讐するというシリアスなフェミニズム映画でありながら、そのジャンルはポップなラブコメ×スリラーという作風で、アカデミー賞の5部門にノミネートされるという快挙を成し遂げた『プロミシング・ヤング・ウーマン』。
Netflixドラマ『ザ・クラウン』でカミラ夫人を演じる俳優としても大活躍のエメラルド・フェネル監督は、その多様な要素をまとめあげ、アカデミー賞脚本賞を受賞した。
“あのエンディング”について監督が語る
女性が日常のなかで日々直面する性差別や性暴力を描いた本作では、一般的には“良い人”であり、信頼していた男性から性差別の問題では裏切られるといった、少なくない数の女性が経験したことのある絶望も描き切った。
そんな本作の終わり方は、どのようなものになるのか? 見ている間中そんな疑問を頭の片隅に浮かばせ、そして最後に息を飲ませる展開を、その一方で納得できる展開をフェネル監督は映し出した。
あのエンディングは、どんでん返しという表現に当てはまるものではないものの、誰も予想できないものであることは確か。そのエンディングで進めることを、フェネル監督は最初から決めていたのだろうか? 米AP通信のインタビューで監督が明かしたところによると、当初は違うアイディアも出ていたという。しかしそのアイディアが出来なかったことこそが、本作のポイントだと語った。
「理屈的には、起こりえる多くのバージョンのエンディングがありました。私が最初に提出したものは、もっと荒涼として、もっと暗いものだったと言えます。とはいえ、彼女が誰かの“あれ”を切り落とし、タバコを吸って、スローモーションのなか歩き去るというようなエンディングは、絶対に書かれたことはなかった。私たちが“やりたかった”エンディングは、可能なものではなかったし、それこそがこの映画のポイントでもある」
キャシーの復讐について、あなたはどう感じ、どう考えただろうか? そしてあのエンディングに、どのような思いを抱いただろうか?
「難しく問題のあることについてであっても、人々が見に行きたくなるものをいつだって作りたかった」と言うフェネル監督の『プロミシング・ヤング・ウーマン』。本作の配給元であるフォーカス・フィーチャーズの責任者は、「観客の皆さんには、好きか嫌いかにかかわらず、必ず見に来ていただきたい」とコメントしている。
(フロントロウ編集部)