エミー賞で15部門ノミネート!コメディドラマ『HACKS』
エミー賞は、アメリカのプライムタイムに放送された番組や大手動画配信サービスの番組の中から最も優れた作品やキャスト、クルーが表彰されるアワード。
2021年に開催された第73回エミー賞では、ドラマ『ザ・クラウン』や『クイーンズ・ギャンビット』、『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』などのアワード常連作品がノミネート&受賞を重ねる中、あるコメディ作品が話題となった。
それは、米HBO Maxのオリジナルコメディドラマ『HACKS(ハックス)』。本作は『ザ・クラウン』や『マンダロリアン』といった人気シリーズがノミネーションに名を連ねる中、みごと15部門でノミネート。コメディ部門の脚本賞や最優秀主演女優賞など、3部門を受賞した。
Looks like she’ll have some hardware to pair with that D’Jewelry necklace. Congratulations to Jean Smart on winning the Emmy for Outstanding Lead Actress in a Comedy Series. #Emmys2021 pic.twitter.com/NQ16jZlBQZ
— HBO Max (@hbomax) September 20, 2021
爽快痛快!コメディドラマ『HACKS』のあらすじ
2021年5月にアメリカのHBO Maxで配信が始まった全10エピソードの本作は、老いたコメディエンヌと若きコメディライターの奇妙な友情を描く爽快で痛快なコメディ作品。
ラスベガスの伝説的なスタンドアップコメディの女王、デボラ・ヴァンス(ジーン・スマート)は、出演する舞台の責任者が彼女の出演日を減らしたいと言っていることを知り、なんとかそれを阻止しようと試みる。
一方、彼女の最盛期を知らないZ世代のコメディライターであるアヴァ・ダニエルス(ハンナ・エインビンデル)は、無神経なツイートをしたことで仕事をクビになり、ピンチに瀕していた。
ひょんなことから出会った2人はしぶしぶチームを組み、新しいネタを考え、お互いの違いを尊重することを学んでいく。
エミー賞コメディ部門の脚本賞を受賞した本作のあらすじは、さほど物珍しいものではない。しかし、米辛口レビューサイトのRotten Tomatoesでなんと100%の批評家スコアを獲得しており、多くの観客が「面白い」と率直な言葉で褒め称えている。
レビューには、「ひりつくような本物の哀愁を帯びていて、陽気で洞察に満ちたコメディ」や、「シットコムの感性と現代のドラマを巧みに組み合わせている」といったコメントが寄せられている。
エミー賞コメディ部門最優秀主演女優賞!ジーン・スマート
本作の主演を務め、コメディ部門最優秀主演女優賞に輝いたジーン・スマートは、これまでにも複数のプライムタイム・エミー賞やトニー賞など、数々の賞を受賞してきた現在70歳の俳優。ドラマ『そりゃないぜ!? フレイジャー』や『サマンサ Who?』といった人気ドラマに出演し、舞台や映画でも活躍している。
ジーンは歳を重ねるごとに演技に磨きがかかっていると言われており、『HACKS』は彼女にとって最高の役だとの声も高い。
ちなみに彼女は2018年に出演した米ドキュメンタリー番組『Who Do You Think You Are?』内で、1600年代にアメリカで行なわれた恐ろしき事件「セイラム魔女裁判」の直系の子孫であることが発覚している。
アヴァ役のハンナ・エインビンデルはコメディ部門に助演女優賞にノミネートされたコメディエンヌ兼俳優。バイセクシュアルであることを明かしている彼女は、米コメディ番組『サタデー・ナイト・ライブ』のメンバーであるラレイン・ニューマンの娘でもある。現在26歳の彼女は、2019年頃からその名を知られるようになってきたばかり。今後の活躍も期待される。
コメディ部門の助演男優賞にノミネートされたカール・クレモンズ・ホプキンズも『HACKS』に欠かせないメンバー。カールはホラー映画『キャンディマン』や『Canal Street』などの映画に出演していたが、『HACKS』にキャスティングされる前は演技をやめようと考え、ビジネススクールに通う準備もしていたと米AP通信で語っている。しかしこの度晴れてエミー賞ノミネートなった。カールはクィアでノンバイナリーであることを明かしている。
『HACKS』の日本での配信はまだ発表されていないが、HBO Maxのオリジナル作品は今年に入ってからU-Nextで日本独占配信が続々とスタートしているので、今後の日本上陸に期待したい。(フロントロウ編集部)