公開当時、世界中で物議を醸した『アベンジャーズ/エンドゲーム』の女性ヒーロー集合シーンについて、プロデューサー自身も“わざとらしく見えないか”気にしていたことが判明した。(フロントロウ編集部)

賛否両論の嵐『アベンジャーズ/エンドゲーム』

 2019年に公開された『アベンジャーズ/エンドゲーム』は、2008年公開の映画『アイアンマン』から続いているMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のシリーズの節目となった重要作。

 公開当時、そんな本作の佳境に映し出される女性ヒーローの集合シーンが世界的で物議を醸した。このシーンではまず、ブラック・パンサーからスパイダーマン、そしてキャプテン・マーベルへとインフィニティ・ガントレットがリレーで受け渡される。しかし目の前には無数の敵。戦いでボロボロになったスパイダーマンが「突破できるかな」と尋ねると、オコエの「我々が助ける」という言葉と共に女性ヒーローたちが一斉にその場に現れ、敵軍を倒しながらキャプテン・マーベルをサポートする。

 しかし、あまりにも突然過ぎる展開にファンの間では「わざとらしすぎる」という声が多数。マーベルには、女性ヒーローをもっと第一線に置くように求める声が以前から多かった。もちろん、このシーンでの女性ヒーローのかっこいい姿に歓喜する声もあったとは言え、「シーンがあればいいということじゃない」というツッコミは多かった。

 そしてこの問題について、『アベンジャーズ/エンドゲーム』のプロデューサーを務めたトリン・トランが、同作のメイキング秘話について書かれた新作本『The Story of Marvel Studios: The Making of the Marvel Cinematic Universe.』の中で触れた。

“わざとらしく見えないか?”は制作中のスタジオでも話題だった

 プロデューサーのトリンは、本の中でこのシーンが生まれた経緯を説明。あるレセプションでMCUの女性スターたちが会い、記念撮影をした後、女性を中心とした作品を作ることを話し合い、それがきっかけで女性ヒーロー集合シーンが誕生したという。

画像: “わざとらしく見えないか?”は制作中のスタジオでも話題だった

 トリンはテスト試写会をするまでそのシーンがいいアイディアだと信じて疑わなかったが、いざ視聴してみると、「パンダリングだと思われるか? という心配は少しありました。『ただ入れたいがためにあのシーンを入れたのではないか? そのシーンは、他のストーリーとの関連性があるのか?』と言われてしまうのではないか。それは常に頭の片隅にある懸念でした」

 パンダリング(Pandering)とは、意味もなく世間ウケを狙うためだけに行なう迎合的な行為。『アベンジャーズ/エンドゲーム』の女性ヒーロー集合シーンは一部の批評家や視聴者の間ではパンダリングだと批判されていたが、これは、プロデューサーも不安視していたことだったよう。

 テスト試写会での観客の反応を受けて再撮影が行われ、女性ヒーローが自然な形で結ばれるように、女性キャラクターたちが少人数で登場するシーンが追加された。結果的にあのシーンには心配どおりパンダリングだという批判が出てしまったが、当初のものはさらに盛大な描かれ方だったよう。

 女性ヒーローがチームを組むというアイデアは悪いものではないが、ファンが求めるのは、MCUにおける女性たちの適切なレプリゼンテーション。ただ一つのシーンに入れるだけの話ではなく、だからこそ反発があがった。

 一方でマーベル・スタジオは最近、女性やマイノリティのキャラクターが活躍できるような作品を心がけている。キャプテンマーベルやミズ・マーベル、スカーレットウィッチ、そして『ソー:ラブ・アンド・サンダー』ではナタリー・ポートマン演じるジェーン役が女性版のマイティ・ソーになると言われている。『エンドゲーム』では残念ながらパンダリングとの評価を受けてしまったが、今後ははたしてどうなっていくのだろうか。(フロントロウ編集部)

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