地球環境に配慮したフェムテック製品が海外で話題
国内外でここ最近関心が高まっているのが、生理をはじめとした女性が抱える悩みをテクノロジーで解決するフェムテック。米調査会社フロスト・アンド・サリバンによると、その市場規模は、2025年までに約5兆円にまで膨らむ見通しだという。
そんななか海外を中心に議論され始めているのが、生理にまつわるゴミ問題。ナプキンやタンポンなどの生理用品は、その90%以上がプラスチックでできていて、完全に分解されるまでにかかる年月はなんと約500年。生涯で消費する生理用品の数は1人につき1万個以上と言われているため、かなりの量のプラスチックごみを出している計算になる。
この問題を解消するべく海外で劇的に増えているのが、環境に配慮したサステナブルな生理用品。ユーザーの使いやすさや快適さだけでなく、持続可能であるかも生理用品を選ぶうえでの重要なポイントになってきており、サステナブルな生理用品だけを取り扱う新しいブランドも登場している。
海外で人気のサステナブルな生理用品にはどんなものがあるのか、注目の3つのキーワードとともに、環境に配慮した革新的な生理用品をご紹介。
繰り返し使える生理用品
サステナブルな生理用品のなかでもとくに増えているのが、繰り返し使用できる生理用品。現在もっともメジャーなナプキンやタンポンなどの生理用品は、使い捨てのものがほとんどだけれど、ここ最近海外では何度も使用できる生理用品が大注目。なかでも人気なのが、繰り返し使えてゴミの出ないタンポン。
イギリスのタンポンブランドDAMEが2018年に発売した「D.」は、世界初の再利用できるタンポンアプリケーター。
「D.」は、基本的にどのブランドのタンポンにも使用できて、最大1万回以上も繰り返し使うことができる。革新的なこのタンポンアプリケーターは数多くの賞を受賞しており、合格率5%の高い難易度を誇るサステナブル認証「B Corp」も取得している。
繰り返し使えるタンポンアプリケーターでDAMEと並んで人気を集めているのが、アメリカ発のフェムテックブランドThinxの製品。吸水ショーツの市場も牽引するThinxが販売する「re.ta」は、初めてFDA(アメリカ食品医薬品局)の認可を受けた再利用可能なタンポンアプリケーター。医療グレードの材料でつくられ、安心して繰り返し使用できる。
ちなみに近年日本でも注目されている吸水ショーツや月経カップ、布ナプキンなどの生理用品も繰り返し使えてゴミの出ないフェムテック製品。生理を快適に過ごせてゴミも減らせる生理用品の選択肢は、どんどん増えている。
プラスチックフリーの生理用品
プラスチックを使わずに製造された生理用品も、海外で増えているフェムテック製品のひとつ。なかでも最近海外で大きな話題を呼んでいるのが、Planeraというブランドから登場したプラスチック不使用のナプキン「Planera Pad」。
このナプキンの凄いところは、世界初の水に流せるナプキンであること。「Planera Pad」はマイクロプラスチックを一切使わず、木材パルプ繊維と100%生分解性の吸収性粉末のみでつくられているため、水で溶かすことが可能。
水で溶けるなら経血で溶けてしまいそうだけれど、その心配はなし。なぜなら生理の期間中に出る経血の目安量である100mLほどでは溶けず、トイレの洗浄時に出る9Lほどの水では溶けるように設計されているから。しかも経血の吸収量もかなり多く、公式サイトによると最長24時間も経血を吸収し続けてくれるという。
「Planera Pad」のように水に溶けるという特徴はないけれど、100%プラスチックフリーの生理用品はほかにも多くのブランドから登場していて、海外では高い人気を誇っている。イギリス発のフェムテックブランドであるgrace&greenが販売するナプキンは、オーガニックコットンでつくられていてプラスチックフリー。生分解性で堆肥化可能なナプキンとなっている。
パッケージや製造工程も環境に配慮
ナプキンやタンポンなどの生理用品は、その本体だけでなく個包装のパッケージもゴミになってしまう。そこで注目されているのが、環境に配慮した素材でつくられたパッケージの生理用品。
そのひとつがイギリス発のDayeというブランドが販売する、水に溶けるパッケージのタンポン。Dayのタンポンのパッケージは、トイレットペーパーなどにも使われる木材パルプ素材でできているため、水に触れると溶ける仕様。さらにこのタンポンは、アプリケーターがプラスチックではなくサトウキビ由来の素材でできているため、パッケージと中身の両方がサステナブルな生理用品になっている。
また製造工程でも環境に配慮しているブランドも増加中。アメリカ発のフェムテックブランドであるTOTMは、持続可能な農法によって調達した素材を使用し、製造時の水量も一般的な生理用品にくらべて88%削減。さらに製造の際に排出される温室効果ガスも大幅にカットして、ナプキンやタンポンを製造しているそう。
海外で注目を集めるサステナブルなフェムテック製品。日本でもフェムテック製品の市場は拡大しているので、地球環境に配慮したアイテムが今後増えてくるかも。(フロントロウ編集部)