新生ヴィクトリアズ・シークレットにベラ・ハディッド
“エンジェル”と呼ばれるスーパーモデルたちを起用したキャンペーンを廃止し、より多様性と包括性に富んだ女性7人から成る「The VS Collective(ザ・VS・コレクティブ)」という新たなパートナーシップのプラットフォームを発表したランジェリーブランドのヴィクトリアズ・シークレット(Victoria’s Secret)。
「The VS Collective」はヴィクトリアズ・シークレットの未来を形作るために始動したもので、ユニークな経歴、興味、情熱を持ったパートナーたちが、革新的な製品コレクション、魅力的で刺激的なコンテンツ、新しい社内アソシエイトプログラム、女性に不可欠な活動への支援を実現するために、協力していくという。
そんな新生ヴィクトリアズ・シークレットの広告塔として、人気モデルのベラ・ハディッドが起用された。
過去にはヴィクシーで苦い経験をしたベラ
ベラといえば、過去にヴィクシーのランウェイを歩いたことがあるモデル。しかし、2018年のファッションショーのためのフィッティングの際に、ブランドをけん引してきたエド・ラゼックが、ベラの試着を準備する社員に向かって「ショーツは置いてこい」と命じたり、ベラの体に対して不適切な言葉を投げかけたりしたと米New York Timesが報じ、ベラはヴィクシーに対し良い感情を抱いていないと思われていた。
それだけでなく、ベラ自身もリアーナが手掛けるサヴェージ×フェンティのファッションショーについて語った際、「私はほかのランジェリーブランドのショーにも出演していたけれど、そこでパワフルに感じたことはなかった。下着に身を包んでいたときにね」と米Vogueのイベントでヴィクシーを遠回しに批判したことがあった。
そのためベラは、ヴィクシーに携わらないと思われていたが、今回ベラがヴィクシーの広告塔として復活。その理由は、やはりヴィクシーが大きく変わったから。
ベラはヴィクシー側と会うのに複雑な気持ちを抱いていたそうで、ミーティングまで1年半の時間を要したが、今回仕事を引き受けたことについて「ヴィクトリアズ・シークレットの仕事をするのは数年ぶりになる。私が戻ってくる気になったのは、彼らが私のところに来て、ヴィクトリアズ・シークレットが舞台裏で大きく変わったことを証明してくれたから」と米Marie Claireにコメントした。
今回の契約で一番の注目ポイントは?
さらに今回の契約では、他の会社の契約ではないものが入っているという。
それは、したくないことはしなくてもいいということ。ランジェリーモデルということで、肌を露出する機会が増えるため、ときには見せたくないところまで見せることを求められる。
しかし、今回のヴィクシーとの契約ではそういう状況を未然に防ぐ項目があるようで、「やりたくないことは何もしなくていいと契約に書かれている。ちなみに(契約書にそう書かれているのは)、エディトリアルの撮影でも、その他のファッションの撮影でもないこと。これは私たち女性にとってとても重要なことだと思う。というのも、こうしたセットに入ると、私たちは自分の境界線を失ってしまうことがあるから。そして、自分たちの境界線を受け入れてもらえない。だから、自分の体や自分自身をコントロールする力は自分たちにあって、もし何か気になることがあればはっきり言っていいと彼らが言ってくれたことは、とても重要なこと」と、業界でも異例となる、モデル側に権限を与える契約をしたヴィクシーの動きを称えた。
新生ヴィクシーの広告塔には、ベラの他にもヘイリー・ビーバーも登場。これまでの経営方針から一新したヴィクトリアズ・シークレットに注目したい。(フロントロウ編集部)