ダニエル・クレイグの最終作
6代目ジェームズ・ボンドのダニエル・クレイグが有終の美を飾った『007』シリーズ25作目の『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』。
レア・セドゥ演じるマドレーヌ、ラシャーナ・リンチ演じるノーミ、アナ・デ・アルマス演じるパロマ、ベン・ウィショー演じるQ、そしてラミ・マレック演じるサフィンなど、多くの俳優がそれぞれのキャラクターを熱演し、ダニエルの最終作を彩った。
当初はダニー・ボイル監督がメガホンを取る予定だったが、彼が降板したことでキャリー・ジョージ・フクナガ監督にバトンが渡され、シリーズで初めてアメリカ人監督が起用されたことでも注目を集めた本作。そしてそのエンディングは、ファンの心を感傷的にするものだった…。
『ノー・タイム・トゥ・ダイ』エンディングに向けて
あのエンディングは、一体いつから決まっていたことだったのだろうか? フクナガ監督が英Empireのインタビューで、口を開いた。
「ダニエルとプロデューサーと初めて会った時に、物語をどうしたいか話されたよ。みんなは、あれこそがエンディングだと感じていた。私は、“そうですね。それは(何かしらの)結果として起こるエンディングですね。でも何が起こるかは分かりません。説得力がなければいけない”という感じだった」
エンディングは、ダニエルとプロデューサーたちがすでに決めていたよう。そして、「説得力がなければいけない」と語ったフクナガ監督が、あのエンディングに説得力を持たせたことは明らかであり、方向性が決められていたなかで物語の質を高めた監督の力量も感じられる。
さらに監督は、本作について、「これは今の世界でスパイとして活動する白人男性の物語だ。しかし、(物語を改善することに対して)積極的な姿勢を見せて、女性たちを単に入れたというだけの存在以上にするための努力をしなくてはいけない」と語り、『007』シリーズで問題となってきた女性の描かれ方も変化させた。
だからこそ、1969年公開のシリーズ6作目『女王陛下の007』へのオマージュを多く含む本作のあのエンディングにも説得力が出たと言えるだろう。
またひとつ、チャプターが終わった『007』シリーズ。次の章の幕開けに期待。
(フロントロウ編集部)