キアヌとキャリーが20年ぶりにマトリックスの現実と向き合う
『マトリックス』シリーズでネオとトリニティーを演じたキアヌ・リーブスとキャリー=アン・モスが、50代となって、ふたたびマトリックスの世界に戻ってきた。シリーズ4作目となる最新作『マトリックス レザレクションズ』で、ふたたび“2つの現実”と向き合ったネオとトリニティー。演じたキアヌとキャリーは、その復活について何を思ったのか? 2人そろって登場したインタビューで語った。
出演決定から撮影までの準備について
キアヌ: まずラナと脚本について話したよ。それからサンフランシスコに集まって、読み合わせをし、ラナはその後、脚本を改稿した。その後で、またサンフランシスコで読み合わせを行ない、他のキャストにも会い、サンフランシスコ郊外のアラメダで約6週間のトレーニングを開始し、その後、一時作業を休止。それから撮影。サンフランシスコで。リハーサルはそんなにしなかったね。通し稽古みたいなことは少ししたけど。衣装合わせ、トレーニングを経て撮影を始め…、(キャリーに向かって)家でどんな準備をしたのかは知らないけど…。
キャリー=アン: 家で?
キアヌ: うん。でも基本的に家では想像力を使って脚本と向き合うという感じだった。そんな感じだったね。
初めて本作の脚本を読んだ時の感想
キャリー=アン: ラナが電話をくれて(『マトリックス・レザレクションズ』の)話をしてくれた時はかなり驚いた。ショックを受けた。想像もしていなかったから。キアヌと一緒に読み合わせをするためにラナの家に招かれた時でさえも、脚本上、私たちがどんな風にこの(マトリックスの)世界に戻ってくるのか、見当もつかなかった。トリニティーが、ネオが、どんな風に戻ってくるのか全然わからなかったの。
だからとても楽しかった。随分笑ったし、「すごい」と驚くこともいっぱいあって。その後、内容を自分なりに消化する時間が必要だった。ラナが色々な意味でとても知的でクリエイティブなことをしたから、プロセスする時間が必要だった。私たちはここではこういうことをしたけど、今はこっちの方で何か新しいものを築いている、というように、自分の頭の中で世界を整理し、作品に関わる時にいつも聞く質問を全て聞いた。とてもワクワクしたね。でも最初は、すごい!とかなり衝撃を受けた。
キアヌ: (長い間の後)何て独創的なんだろうと思った。物語をリセットし、(観客をマトリックスの)世界に引き込むためのラナの発想や、僕たちがそこで何をしているのか、という理由づけがね。だから僕の印象としては、まず驚き、そして喜びがあって、それから色々ことについての疑問があった。これはどうして? あれはどうして?と。そしてもちろんワクワクした。
久しぶりのマトリックスの撮影現場
キアヌ: マトリックスのセット、というものはないんだけど、マトリックス映画のセッティングというのは、ラナ・ウォシャウスキーに始まり、トレーニングや衣装合わせというプロセスから生まれる。そして、マトリックスの物語を綴るためにマトリックスの撮影現場にやって来た時の空気感。そこにはワクワク感と、プレッシャーもあって…。
キャリー=アン: そうそう。
キアヌ: だよね。だってマトリックスだから。シーンも中身が詰まっている。そこにはたくさんの大きなアイディアが入っている。大きな愛、思慕、喪失、混乱、恐れ、勇気、期待、失望、哀しみが。それらはストーリーにとっても、演じるキャラクターにとっても、美しく、素晴らしい要素たち。マトリックスのセットとセッティングは僕にとって、他とは違うんだ。
キャリー=アン: 同感。
ネオとトリニティーの強い絆。キアヌとキャリーの強い絆。
キャリー=アン: 何年も前に共にひとつの旅を経験したことで、私たちにはとても強い絆があると思う。
キアヌ: それらの年月があったからこそね。一緒に映画を作り、一緒にトレーニングをし、一緒に(マトリックスという)経験をし…。何年も前のあの時間は本当に素晴らしいものだった。とても特別なものだった。そして、2人の人生のこの段階で戻ってこられて、共に新しい経験ができるというのも特別なこと。20年ぶりだという感覚もあったけど、同時に、(三部作が)ほんの昨日のことのようにも感じた。一瞬で慣れ親しんだ場所に戻ってきたように感じたんだ。キャリー=アンと仕事をするのは大好き。すごく気持ちがいい。とても心地良いものがあるんだよ。
この時代に新たにマトリックスを製作することの意義
キアヌ: 今の時代に? そうだね、マトリックス三部作同様、現代的だし、現代を意識した上で、未来を見つめている作品だと思う。『マトリックス』、『マトリックス・リローデッド』、『マトリックス・レボリューションズ』と同じように。これらの映画は、ツールのようなところがあると思ってる。
世界を見る方法のひとつで、娯楽性のあるアクション、人物関係、衣装デザイン、プロダクション・デザインなど、エンタメ性を通して作用する。そこにはたくさんのアイディアが盛り込まれている。我々が誰であるのか。どのような存在なのか。我々をコントロールするシステムがどんなものなのか。知覚、人間、機械、プログラムに関する選択とはどんなものなのか。だから今日に通じる作品だと思うし、未来をどう見るのか、考えるきっかけになる作品だと思っている。
(フロントロウ編集部)