話題のアダプトゲンはPMSもサポート
月経前の3~10日間にかけて起こるイライラや気分の落ち込み、眠気、乳房の張り、下腹部の痛み、肌荒れといった精神的、身体的不調を指すPMS(月経前症候群)は、程度に個人差はあるけれど女性の7~8割もの人が一度は経験していると言われている。近年は日本でもPMS治療薬がはじめて承認されたり、PMSの悩みをサポートするアプリがリリースされたりと少しずつ理解が進んでいるけれど、毎月来るものだからと我慢してしまう風潮がまだまだあるのが現状。
一方、欧米諸国では日本よりも早くからPMSの認知や理解が高まっており、PMSの不調を和らげて上手に付き合っていく方法として新たに注目されているのが「アダプトゲン」。アダプトゲンとは、古くから漢方やアーユルヴェーダに取り入れられてきた、トラウマ、不安、肉体的疲労などのストレスにアプローチする天然ハーブの総称。その中にはじつは、PMSや生理痛、更年期の不調といった女性特有の悩みの緩和が期待できるものも多い。
米国統合ホリスティック医学委員会の前会長を務めた経験を持つ産婦人科医のウェンディ・ワーナー医師は、「適度な運動と健康的な食事などの生活習慣の改善にくわえてアダプトゲンを取り入れると、PMSを和らげられる可能性は十分にあります」と米Well+goodで説明。自分に合うアダプトゲンが入ったサプリメントやハーブティー、ドリンク、お菓子などを取り入れることで、PMSの緩和が期待できるそう。
どんなアダプトゲンを選ぶといいのか、医師が勧めるPMSをサポートするアダプトゲンの種類をご紹介。
アシュワガンダ
アダプトゲンを代表するハーブで日本でも知名度が高まっている「アシュワガンダ」には、PMSにアプローチする働きも。
カリフォルニア州のオークランドを拠点とする自然療法医のジョリーン・ブライトン医師は、「コルチゾールのレベルを調節する働きを持つアシュワガンダは、PMSの期間中のイライラや不安などにも働きかけます」と米Mind body greenで説明。別名ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールを調整することで、PMSの不調を落ち着けてくれるという。
冬虫夏草
昆虫に寄生し、その栄養分を採取して育つキノコの一種である「冬虫夏草」は、東洋医学などで長年取り入れられてきた歴史があり、日本でも漢方薬などに取り入れられている。そんな冬虫夏草は、副腎という臓器の働きをサポートすることで、PMSの改善が期待できる。
副腎とは50種類以上ものホルモンを産生、分泌する臓器で、この機能が低下するとPMSの悪化やストレス過剰などさまざまな悪影響があるという。ワーナー医師は、「冬虫夏草などの副腎に働きかけるアダプトゲンを取り入れると、副腎の機能のバランスが正常になりやすくなるため、PMSが和らぐことがあります」と説明した。
甘草(カンゾウ)
PMSの不調の中でもニキビなどの肌荒れへの効果が期待できるのが、甘草(カンゾウ)と呼ばれるアダプトゲン。リコリスの名でも親しまれる甘草は、ハーブティーの原料などでもおなじみ。
ブライトン医師によるとPMS期間中の肌荒れは、ホルモンバランスの乱れによって起こることが多いため、ホルモンバランスを整える作用を持つ甘草を取り入れるのがオススメなのだという。
ちなみにアダプトゲンはハーブであるため、基本的に一晩で変化が起こるようなものではない。医師は身体に合わないなどの兆候がない限りは、少なくとも2~3カ月は続けることを勧めている。またPMSの症状が日常生活に支障をきたすほど重い場合には、専門機関への受診を検討するようアドバイスした。(フロントロウ編集部)