アカデミー賞授賞式で俳優のウィル・スミスがコメディアンのクリス・ロックをビンタした騒動で、俳優のジム・キャリーがウィルとその後の周囲の対応を痛烈に批判した。(フロントロウ編集部)

ジム・キャリーがウィル・スミスのビンタ事件を語る

 映画『マスク』や『グリンチ』などの出演作で知られる俳優のジム・キャリーが米CBSの番組『This Morning(原題)』に出演し、アカデミー賞授賞式で俳優のウィル・スミスがコメディアンのクリス・ロックをビンタした騒動に対する自身の見解を語った。

 すでに多くの方がご存じだと思うが、先日の授賞式でプレゼンターとして登場したクリスがウィルの妻ジェイダ・ピンケット・スミスの坊主頭をジョークにするひと幕があり(※)、そのことに激怒したウィルが、突如、壇上にあがってクリスをビンタするという事件が起きた。それでもなおウィルの怒りは収まらず、Fワードと呼ばれる放送禁止用語を使ってクリスを罵り、アメリカではその瞬間だけ無音で放送された。
※ジェイダは脱毛症に悩まされており、それが理由で2021年から坊主頭にしている。その事実をクリスが知っていたかどうかは不明。

画像: アカデミー賞授賞式でウィル・スミス(右)にビンタされたクリス・ロック(左)。

アカデミー賞授賞式でウィル・スミス(右)にビンタされたクリス・ロック(左)。

 ウィルがクリスをビンタした直後、裏ではウィルを授賞式から退場させるかどうか真剣に議論されたことが関係者の証言によって明らかになっているが、少なくともジムはウィルが騒動のあとも授賞式に参加し続けたことに不快感を覚えたそうで、ウィルが主演男優賞を受賞しスタンディングオベーションを受けたシーンについて、「気分が悪くなりました。スタンディングオベーションが送られたのを見てうんざりしましたね。ハリウッドは腰抜けになり、私たちがもうクールな集団ではないということを明確に示しているように感じました」とばっさり。

 続けて、番組司会者のゲイル・キングが「もし、ほかの誰かが観客席から歩いてきて、そんなことをしたら、警備員に追い出されるか、あるいは逮捕されていたかもしれません」と言うと、「彼はそうなるべきでした」と発言。また、クリスは被害届を出す考えがないことをゲイルから聞かされると、「彼は面倒なことは嫌だったんでしょう。(自分なら)今朝にもウィルを2億ドルで訴えると発表したと思います。なぜなら、(殴られた瞬間の)あの映像は永遠に残り、いたるところに存在するからです。その侮辱は長く続くことになるでしょう。観客席から大声を出したり、ツイッターで不満を述べたりするのはかまいません。しかし、誰かに何か言われたからといって、ステージに上がり、誰かの顔を叩く権利はないのです。エスカレートしたわけではなく、ウィルのなかに何か不満があってそれが突然出てきたんです」と述べ、ウィルが取った行動を非難した。

画像: ジム・キャリー(左)とウィル・スミス(右)。2003年にキッズ・チョイス・アワードのバックステージで撮影された写真。

ジム・キャリー(左)とウィル・スミス(右)。2003年にキッズ・チョイス・アワードのバックステージで撮影された写真。

 さらに、ジムは「私は彼の幸せを願っています。心からそう思っています。私はウィル・スミスに何の恨みもありません」としたうえで、今回の騒動のせいで、ほかの受賞者たちの存在がかすんでしまったと指摘。「彼はこれまでに数々の素晴らしいことを成し遂げました。けれど、あの瞬間はよくありませんでした。みんなの輝く瞬間に影を落としました。あの場所にたどり着くまで、みんな一生懸命だったんです。アカデミー賞にノミネートされるまでの過程は並大抵ではありません。まさに努力の賜物です。あの身勝手な行動によって全体に暗雲が立ちこめました」と、本来であればもっと脚光を浴びるべきほかの候補者や受賞者たちが、騒動の影に隠れてしまっている状況を嘆いた。(フロントロウ編集部)

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