マイケル・ベイらしい「ビッグアクション」と「複雑な人間関係」
『アンビュランス』は、LA史上最高額の銀行強盗を企てた兄弟が、瀕死の警官と救命救急士を乗せた救急車をハイジャックして逃走するアクション映画。監督は、ダイナミックな爆発を含むハイボルテージなアクションと、キャラクターたちの複雑な人間関係を魅せながらストーリーを展開させていくことで知られるマイケル・ベイ。
弟のウィル(ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世)は病気の妻の治療費を手に入れるために、疎遠になっていた兄のダニー(ジェイク・ギレンホール)を頼る。ウィルは養子で、ダニーとは血の繋がらない兄弟。そしてダニーは、治療費を捻出するために銀行強盗の計画をウィルに持ち掛ける。この2人は一緒に銀行強盗をするほどの兄弟なのだが、衝撃的なバックグラウンドを持っており、それが2人の関係を複雑にしている。
マイケル・ベイ監督は、フロントロウ編集部にこう明かした。
「当初、兄弟は白人の予定でした。でもスタジオ側からヤーヤという俳優がいると紹介され、僕は彼が将来ムービースターになると確信しました。映画では、悪い環境の中で育った兄弟というバックストーリーがあります。銀行強盗の家族が、黒人の少年を養子にとるのです。2人は、親友として、兄弟として育った。それがストーリーをより複雑に面白くしていると思います」
主演のヤーヤとジェイクも、そんな兄弟の複雑な事情を演じるのを楽しんだという。
ジェイクは、兄弟がハイジャックした救急車に偶然乗り合わせたキャム(エイザ・ゴンザレス)のことにも触れて、「映画の魅力は、3人のメインキャラクターの人間関係だと思います。全員に異なるリスク、異なる課題があるのです。ヤーヤと僕のキャラクター同士の、兄弟の関係も見どころです。この兄弟の関係はストーリーにものすごい複雑さを生み出しています。とくにこの映画の2人は、ものすごい苦難を経験していますから」とコメント。
ヤーヤもそんなジェイクの言葉に同調し、「この映画が描く、兄弟愛、家族愛、友情と、そういった関係に伴うチャレンジに惹かれました。目でも耳でも楽しめる映画になることは最初から確信していましたが、そのなかに、非常に心温まる人間同士の関係についてのストーリーがあるのです」と語った。
複雑なキャラクターたちの関係性でも楽しめる本作では、FPV ファースト・パーソン・ビュー(一人称視点)と呼ばれるドローンを用いた最新技術でダイナミックな映像の撮影にも挑戦している。映画『アンビュランス』は全国公開中。(フロントロウ編集部)