『ハリー・ポッター』の作者JKローリングが、レズビアン可視化の週に行なったツイートで再び物議をかもしている。(フロントロウ編集部)

レズビアン可視化の週をお祝い

 4月26日は、レズビアンたちの存在を啓もうしてレズビアンたちが直面する問題にスポットライトを当てる「レズビアン可視化の日(Lesbian Visibility Day)」。「レズビアン可視化の週(Lesbian Visibility Week)」が始まった月曜日25日からは、コミュニティを祝う言葉がSNSで投稿され始めたのだが、そのなかで、『ハリー・ポッター』の作者であるJKローリングのツイートが問題視されている。

画像: レズビアン可視化の週をお祝い

 ローリング氏はレズビアン団体であるLGB Allianceの創設者であるアリソン・ベイリーの写真をアップし、「イギリスでは今日からレズビアン可視化の週が始まります。私にインスピレーションを与えてくれる友人の困難から立ち上がる力と勇気に敬意を表する良い機会です。#私はアリソン・ベイリーの味方」とツイートした。

 ローリング氏はプライベートでも交流するほどLGB Allianceやアリソン・ベイリーと親しいのだが、LGB Allianceは、著名なLGBTQ+アクティビストや団体、イギリスの政治家などに“反トランスのヘイトグループ”と明言されている団体。

 弁護士であるアリソン・ベイリーは反トランス的なSNS投稿やLGB Allianceでの活動を理由に雇い先から内部調査を受けたことは公平な扱いではないとして、元雇用主である Garden Court ChambersとLGBTQ+の人権団体であるStonewall を訴えており、ローリング氏の「#私はアリソン・ベイリーの味方」というハッシュタグはこの件に触れたものだと思われる。

レズビアン可視化の週を新設したリンダ・ライリーが痛烈に反応

 ローリング氏のツイートは多くの反応を生み出したが、なかでも注目を集めたのが、レズビアン可視化の週の創設者であるリンダ・ライリー。レズビアン可視化の週は1990年代から存在していたが、DIVA誌を発行しているイギリス人ジャーナリストのライリー氏が2020年にレズビアン可視化の日(4月26日)を軸にレズビアン可視化の週を新たに立ち上げてリバイバルしたとされている。

 ローリング氏のツイートを引用リツイートしたライリー氏は、こうツイートした。

 「ワオ!JKローリングのような人たちが、私たちのコミュニティをより多くの憎しみで書き立てる手段として使うために、レズビアン可視化の週を作ったわけではないのですが。これは、アライとしてやるべきではないことの最適な例ですね。#私はストーンウォールの味方 #LWithTheT」

 ライリー氏が最後にツイートした「#LWithTheT」というハッシュタグは、LGB Allianceのような活動を受けて、ツイッター上のレズビアン(L)の間で多く使われている、トランス(T)は仲間であるという意思を示すためのもの。

JKローリングが皮肉交じりのツイートで反応

 ライリー氏のツイートが話題になるなか、JKローリングが再びツイート。

 自身が投稿した写真に写るアリソン・ベイリーが、旗を持ってマーチに参加していたことに触れて、「どうやら、自分たちの権利のために行進する黒人レズビアンの写真を掲載することは、憎しみをかき立てるようです」と言ったJKローリングは、「なので、白人で、ひげ面の、ストーンウォール公認のレズビアン、Alex Drummondの写真とインタビューを掲載します」と続け、トランスジェンダーのレズビアンであるアレックス・ドラモンドの写真を掲載。

 ちなみにローリング氏が投稿したドラモンド氏は、反トランス的な姿勢を見せる人々からは「女性の恰好をした男性」というヘイトを長年受け続けている女性。

 その後ローリング氏は、アレックスの写真に対してフォロワーから届いた「なぜ私はレズビアン(みなさん良い人)を女性だと思っていたのでしょう?彼らが実は男性であることを理解しなかった私は、どこで間違ったのでしょうか?愛すべき言葉の魔術師として説明してください」という皮肉交じりのツイートを引用してこう続けた。

 「素晴らしい質問ですね、エマ! レズビアンを同性に惹かれる女性と定義することは、すべてのグループの中で最も疎外された人々、つまり、女性とヤリたがっているペニスとヒゲを持つ人々を排除し抑圧することになるのです」

 そして、「『彼らはストレートの男性じゃないの?』と言う前に、彼らはアイラインを引いているよ」と皮肉交じりに投稿。トランス女性とメイクをした男性は一緒であるという、トランス女性は女性ではないという考えの人々の間でよく聞かれる論調を繰り返した。(フロントロウ編集部)

※記事内「トランス女性はトランス女性ではないという考えの人々の間でよく聞かれる論調」の箇所で誤植があったため修正しました。

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