『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』が中東で上映禁止に
いよいよ2022年5月4日に全国公開されるMCUの新作映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』。世界中のMCUファンたちが心待ちにしていた本作だが、既に、サウジアラビアやエジプト、カタール、クウェートなど中東の国々では上映されないことが決定している。
それらの国々では同性愛が禁止されているのだが、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』にレズビアンのキャラクターであるアメリカ・チャベスが登場することで、同作が検閲の対象となり、上映禁止という措置が取られることとなった。
ベネディクト・カンバーバッチが遺憾の意を表明
中東の国々で上映禁止という措置が取られたことを受けて、今回、主演を務めるベネディクト・カンバーバッチが英PA Mediaとのインタビューでこの件についてコメント。「正直、これについては感情的にならざるを得ません。ただ、残念ながら、このことは予想通りの失望だとも言えます」と、中東の国々で上映禁止になるのはある意味で想定通りだったと前置きした上で、遺憾の意を表した。
「私たちは、こうした寛容さが欠如した抑圧的な政権が人々を排除してきたことを知っています。その人々とは、本来であれば包括される権利があるだけでなく、ありのままでいることを祝福されるべき人たちであり、社会や文化の一部だと感じる権利がある人たちです。彼らのセクシャリティのために、罰せられるようなことがあってはいけません」。
ベネディクトは続けて、「私たち人類が種としてこれまで経験してきたことに関して足並みが揃っていないと感じてしまいます。地球規模のカルチャーとして、私たちが今いる現在地については言うまでもありませんが」と、地球規模で人権に対する考えの足並みが揃っていないと指摘。
その上で、「LGBTQ+のメンバーを(劇中に)含んだのは形だけのことではない」と語った彼は、ソーチー・ゴメスが演じるマーベル初のラテン系でLGBTQ+のキャラクターであるアメリカ・チャベスについて、彼女が登場するのは「彼女がいかに最高のキャラクターか」が評価された結果であり、そのセクシャリティは「彼女のキャラクターを表す一つの側面でしかない」とした。
加えて、ベネディクトはLGBTQ+のキャラクターを含むことが未だに政治的な検閲の対象になってしまうことにも触れて、「私たちはまだまだ包括性や平等を押し進めていかなければいけませんが、たとえ小さな方法だとしても、マーベルやディズニーが大きなキャンバスの上でそうしたことに取り組んでいることを私はとても嬉しく思っています」と、マーベルやディズニーが少しずつLGBTQ+の人々のレプリゼンテーションに取り組んでいることを評価した。
エリザベス・オルセンも上映禁止にコメント
また、同作でスカーレット・ウィッチことワンダ・マキシモフを演じているエリザベス・オルセンも、中東で上映禁止になったことについてコメント。
エリザベスは、「他の国にいる、この作品を観ることができないファンの方々については本当に気の毒に思いますし、その方々がどうにか観る方法を見つけてくれることを願っています」と、上映禁止になった国のファンたちがこの作品を観られることを願っているとしつつも、「私たち俳優だけでなく、私たちの上の人たちですら、こうした事態をコントロールすることはできません」と、自分たちやスタジオの力だけでは政府を動かすことはできないとコメント。
その上で、「なので、ファンの方々にとっては間違いなく残念なことではありますが、私は包括性や多様性を体現し、それらのために立ち上がる映画の一員であることを誇りに思っています」と語った。(フロントロウ編集部)