中絶を求めた少女の嘆願が拒否された理由は、16歳の少女には判断能力がないから? 大きな問題となっている。(フロントロウ編集部)

判断能力がないから出産すべき?矛盾の判決

 女性の中絶の権利が保障されなくなったアメリカで、16歳の少女が中絶を行なえない可能性が出てきている。その理由は、「彼女が、妊娠を終わらせるかどうかの判断を自分で下せるほど十分に成熟していることを明確かつ説得力のある証拠によって立証していない」から。

 若い女性は物を知らないという差別的意識の元で女性の人権が侵害されることは多く、例えば日本でも、アフターピルを薬局で買えるようにしてほしいという女性の要望に対して「若い女性は知識がない」という発言がなされてきた。

 また、少女に判断能力があるかどうかという点に注目がいっているが、まずもって、判断能力がないから子どもを産ませるという理論は破綻している。日本でも、先ほど出たように、アフターピルの購入については知識がないとされるにもかかわらず、性交同意年齢は13歳という世界的に見ても低い年齢に設定されているなど、人権を保障しないために「女性は成長が早い」「女性は知識がない」と矛盾した主張が繰り返されてきた。

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 今回、少女が住んでいるのはフロリダ州。同州では親か保護者の同意がなければ中絶を受けることができない。しかし少女には両親がおらず、親戚の元で暮らしているという。彼女は中絶を受ける許可を得るために巡回裁判所に嘆願していた。しかしJennifer Frydrychowicz裁判官が少女のリクエストを拒否し、その後控訴裁判所で3名の審査団がFrydrychowicz裁判官の判断を支持。ちなみに、米NBC Newsによると、共和党員であるFrydrychowicz裁判官は、子どもへの教育プログラムなどを運営するエスカンビア子ども信託の役員も務めているという。

 しかし、審査団の1人であるScott Makar裁判官は、彼女の訴えを巡回裁判所へ戻すべきだと主張している。Makar裁判官によると、少女の保護者は彼女の選択を支持しているという。そして彼は、「未成年者は、自分は判断を下すのに十分に成熟しており、“赤ちゃんを持つ準備が出来ていない”と言っている。彼女には仕事はなく、“まだ学校に通って”いる。そして(赤ちゃんの)父親は彼女を助けることができない」とした。

 しかし彼からは「不可解」だという指摘もあり、弁護士は無償でつけられるにもかかわらず、少女は弁護士を依頼せず、ケアワーカーと訴訟後見人とともにいたという。彼は、少女が以前は子どもを産む意思があったが、考えを改めたとしている。

中絶は女性1人の判断で出来るべき

画像: 中絶は女性1人の判断で出来るべき

 米Politicoによると、アメリカ最高裁は1989年に中絶する際に両親にそれを知らせることを義務づける法律はプライバシーの権利に違反するとした。しかしフロリダ州は、2004年に未成年者が中絶を受ける場合は親か保護者に知らせなくてはならないという法案を通過させた。そして2020年には、未成年が中絶を受ける場合には、両親か法的保護者による署名での同意を必要とさせる法律が成立した。

 中絶を受けるために、妊娠した女性以外の誰かの同意が必要とされることは多くの問題があるとされており、WHOは同意の要求について、「両親や保護者の許可が必要だと知れば、思春期の女性は医療機関に行くことを拒む可能性があり、内密に中絶を行なう提供者の元に行く可能性を高める」と指摘。女性のからだの自己決定権を守るためには、医師であっても女性の中絶の決定に口を出すべきではないと明言しており、各国の法から第三者の同意を必須とすることを取り除くように要請している。

 ちなみに日本でも、未成年者が中絶を受ける場合には両親か保護者の同意が必要。また、配偶者やパートナーの同意も要求されるが、世界でその同意を求める国は、日本を含めてたった11ヵ国となっている。

 フロリダ州では、妊娠15週以降の中絶を禁止しており、近親相姦やレイプも例外にならない。少女は判決が出された時に妊娠10週だったと報告されている。

(フロントロウ編集部)

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