実写版『リトル・マーメイド』で主演を務めるハリー・ベイリーが、ロブ・マーシャル監督による本作のアリエルが持つ外見の魅力や内面の魅力を語った。(フロントロウ編集部)

ハリー・ベイリーによる人魚のアリエル

 2023年5月に全米公開予定の実写版『リトル・マーメイド』は、『シカゴ』や『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』、『メリー・ポピンズ リターンズ』などのロブ・マーシャル監督が手掛け、グラミー賞にノミネート経験のあるハリー・ベイリーが主演を務めるファンタジーミュージカル。

 ハリーは黒人であることから、人種差別に基づく発言・反応を受けることもあったが、「どんな状況であろうとつねに顔を上げることを、私たちはこれまでの経験から学んできた。誰に何を言われようと、前進するのみ」という芯の強い姿勢を見せている。そんな彼女の性格は、アリエルを表現するうえで非常に良いエッセンスとなったよう。米EWのインタビューで、ハリーはこんな思いを語った。

 「私たちはみんな、より良いものを強く求めています。自分たちのために、より良いものが欲しいといった感情は、みんなが理解できるものです。そしてアリエルの強いところは、彼女もより上を求めるということ。自分が欲しいもの、自分のためになるものを追い求め、自分は別の場所に行くべきであると知っている。彼女の強さを尊敬しますし、私のバージョンではそれを演じようと努力しました」

 より良いものが求められているのは、『リトル・マーメイド』の予告編を見た黒人の子ども達やその保護者の反応を見ていても明らか。さらにハリーは、今回のアリエルは肌の色だけでなく“髪型”も素晴らしいと指摘。

 「ロブはとても素晴らしい人で、『君が存在しているのが見えるし、君があのキャラクターの中に入ってほしいんだ』と言ってくれました。美しいことです。例えば私の髪。私のドレッドヘアを赤い髪に組み込むというのは、私にとってとても特別なことでした。あの外見、尾ひれ、すべてが。ただただ素晴らしいです。自分が持つ要素を混ぜ合わせることができたことに感謝しています」

黒人のプリンセス実現まで長い年月がかかった

 “プリンセス”と聞いて、ドレッドヘアやアフロヘアを思い浮かべる人は少ない。なぜなら、これまで描かれてきたプリンセスはブロンドやブラウンカラーのストレートヘアが多いから。ディズニーでいえば、長編アニメーションで黒人のプリンセスが描かれたのは、2009年の『プリンセスと魔法のキス』が初めてだった。つまり今からたった13年前のことで、しかもディズニーはこれまでに48本のアニメーション映画を制作してきている。ディズニー初の長編アニメーション『白雪姫』がリリースされたのは1937年なので、72年もの年月がかかった。

 実写では、1997年にウォルト・ディズニー・テレビジョンが黒人シンガーのブランディを主演に、ホイットニー・ヒューストンを魔法使いに起用した『シンデレラ』を制作したことは画期的だったが、これはテレビ映画。ABCで放送された。

 黒人のプリンセスを望む声は以前からあり、2020年にはヘアスタイリストのラチャンダ・ガットソンと、フォトグラファーデュオのクリエイティブソウルが、黒人の子どもたちをプリンセスにした作品集を制作。その際にラチャンダは、黒人の子どもたちにも自分が「正統なプリンセス」であると感じてほしいと話していた。

 ハリーの起用による様々な反応には、ファンタジーな存在である人魚に対してですら人々の価値観は偏って固められてきたことが理解でき、驚きを感じる。しかし彼女がアリエルを演じたことで、世界に人魚のイメージが増えたのは事実だろう。

(フロントロウ編集部)

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