D23 Expo 2022で東京ディズニーシー<ファンタジー・スプリングス>の新情報が公開
現地時間9月9日から9月11日にかけて、米カリフォルニア州アナハイムで開催された“究極のディズニーファンイベント“D23 Expo 2022にて、東京ディズニーシーの新エリア<ファンタジー・スプリングス>に関する新たな情報が公開された。
<ファンタジー・スプリングス>は、『アナと雪の女王』、『ラプンツェル』、『ピーター・パン』という3つのディズニー長編アニメーション作品の世界観がミックスされた新エリアで、2023年度に東京ディズニーシーにオープン予定。“魔法の泉が導くディズニーファンタジーの世界”をテーマした<ファンタジー・スプリングス>は現在、建設が進められており、4つの新しいアトラクションと3つのレストラン、1つのショップ、そしてディズニーホテルが誕生することが明らかになっている。
今回、D23 Expo 2022の会場で新たに公開されたのは、それぞれの4つのアトラクションの模型と、コンセプトポスターたち。
D23 Expo 2022を現地取材したフロントロウ編集部では、会場で<ファンタジー・スプリングス>の担当イマジニアである、ウォルト・ディズニー・イマジニアリングのカーク・ボディフェルト氏に単独でインタビューを実施。
ウォルト・ディズニー・イマジニアリングとは、世界各地にあるディズニーパークのコンセプトやパークのアトラクション、クルージング船などを手がけるディズニーの企業で、アーティストやエンジニア、建築家、脚本家、プログラマーなど、あらゆるクリエイターからなるチームのこと。同社に所属するクリエイターたちは、イマジン(imagine)とエンジニア(engineer)を掛け合わせた「イマジニア(imagineer)」という名前で呼ばれている。
同社でメディア・プロデューサーとして<ファンタジー・スプリングス>を担当しているイマジニアのボディフェルト氏に、『アナと雪の女王』、『ラプンツェル』、『ピーター・パン』という3作品を新エリアのテーマとして選んだ理由など、気になっていたことを直接訊いてみた。
ファンタジー・スプリングス担当イマジニア、カーク・ボディフェルト氏に取材
カークさんがウォルト・ディズニー・イマジニアリングで担当されている、メディア・プロデューサーの役割について教えてください。
メディア部門は、アトラクションの中で投影されるものを担当しています。アニメーションであれ、照明であれ、それからもちろん、魔法に関しても。『アナと雪の女王』のアトラクションには、あらゆる魔法が使われてますからね。我々はそれらを創り上げ、アニメ化し、アトラクションが建設されたら、それを投影するためのシステムなど、あらゆることをそこに組み込んでいます。私はこのメディア部門で、<ファンタジー・スプリングス>にある4つのアトラクションすべてに携わっています。
<ファンタジー・スプリングス>のコンセプトを教えてください。
東京ディズニーシーのコンセプトとして最も重要なのは、言うまでもなく“水”です。ディズニーシーは全体が“水”をテーマにしています。既にあるアトラクションで言っても、<海底2万マイル>や<ニモ&フレンズ・シーライダー>などがありますよね。<ファンタジー・スプリングス>という名前の由来は、エリアの至るところに滝や、水に関連した要素があるからで、ここには魔法の精たちが暮らしています。それから、アトラクションについても、水の要素がベースになっていて、水路が使われていたり、そもそものテーマが水であったりというものになっています。<ファンタジー・スプリングス>という名称は、そうした背景から誕生しました。<ファンタジー・スプリングス>のエリアは、『ラプンツェル』のアトラクションがある<ラプンツェルの森>と、『アナと雪の女王』のアトラクションがある<アレンデール王国>、それからティンカー・ベルと、ピーター・パンのそれぞれのアトラクションがある<ネバーランド>から構成されています。
<ファンタジー・スプリングス>を構成する作品として『ラプンツェル』と『アナと雪の女王』、『ピーター・パン』をテーマに選んだのはなぜですか? この3作品にはどんな共通点があるのでしょう?
3作品に共通していること要素の1つは、日本のオーディエンスにとってのお気に入りの作品であるということだと考えています。私たちはパークの担当者たちとやり取りをして仕事を進めているのですが、「アトラクションのコンセプトはどうしようか」という話になったのですが、個人的には、『ピーター・パン』がずっと日本でも人気の作品であることは知っていました。3作品ともがディズニーの長編アニメ映画作品となっていて、昔の作品と、比較的最近の作品という組み合わせになっています。『ピーター・パン』という、長きにわたってディズニー・ファンたちのお気に入りであり続けてきた作品と、最近になって新しいファンも獲得することとなった『ラプンツェル』と『アナと雪の女王』を組み合わせられたことには満足しています。
東京ディズニーシーは、世界各地にあるディズニー・パークの中で唯一、“シー”というコンセプトがあるパークです。イマジニアとして、東京ディズニーシーのユニークな部分はどんなところだと感じていますか?
東京ディズニーシーのユニークな点は、ディズニーのキャラクターたちに関連した要素だけでなく、<センター・オブ・ジ・アース>や<海底2万マイル>といった、ディズニー以外の要素もあるという点だと思います。必ずしもディズニーのキャラクターに関連したものではないものの、素晴らしいアトラクションたちですよね。世界の他のどのディズニーパークとも違う、ユニークなパークだと思います。アメリカンな<ウォーターフロントパーク>もあれば、イタリアのヴェネツィアをモチーフにした<ヴェネツィアン・ゴンドラ>もあります。それから、<ミステリアスアイランド>を訪れた際には、没入感を感じていただけると思います。<ミステリアスアイランド>では、パークの他のエリアが光景として目に入ることがありません。パーク全体の雰囲気がそのようなユニークなものになっていて、パークを訪れた人たちは、完全にその世界の一員になれるのです。<ファンタジー・スプリングス>についても同じことが言えますよ。このエリアに入れば、完全に没入することができます。山々に囲まれた、閉ざされた空間になっていますから。今までにない魔法空間になっているので、皆さんのよく知るディズニーのキャラクターたちとの新しい冒険に、心からワクワクしてもらえると思います。
ウォルト・ディズニー・イマジニアリングでは、新エリアを建設する時にはどのようなプロセスで行なっているのですか? まず最初はどのようなプロセスから取り掛かるのでしょうか?
ものすごく多くのコンセプトを挙げるところからスタートします。まずは、アートワークを創るところからですね。ひたすらコンセプトを描いていく、という感じです。ここに展示されているアートワークも、コンセプトについて話し合い始めた時に描かれたものですし、そういうところからプロセスはスタートして、次は脚本に取り掛かります。もちろん、すべてのプロセスが重要ではあるのですが、よりシリアスになるのは、その後でミニチュアのモデルを創り、「さあ、エリアは具体的にどんな形になるだろうか?」「周囲の環境はどうする?」ということを考え始める時です。今の時代はデジタルが発達していますから、3Dモデルでそれを組み立てることも可能ですが、私たちとしては、実際にスケールモデルを組み立てることで、大きな恩恵が得られると考えています。スケールモデルを組み立てることで、私たちも俯瞰で見ることができます。模型を見ながら、「自分がこのエリアを訪れた時に、この角度から見たらどういう風に見えるのだろう?」、「別のエリアのアトラクションが目に入らないようにしたいけど、山の高さは足りているだろうか?」というようなことを想像しますね。そういうわけで、スケールモデルを創る時には特に力を入れるようにしています。
それが終わったら、建設という段階に入ります。今回について言えば、駐車場を取り除いて、土台となる土地を作って、建物を建設するという段階です。ここには多くの時間を必要とします。そして建設がひと段落したら、外観や内装、塗装などに取り掛かります。通路や、ショウに必要なセットなどを建設して、もしこの段階で何かしらの(アトラクション用の)装置が必要になる時には、私たちメディア部門がプロジェクション用のスクリーンなどを創ります。<ファンタジー・スプリングス>について言えば、今は比較的大きめの建設が終わったという段階で、塗装やセットのデザインに取り掛かっています。私たちメディア部門も間もなく現地へもう一度行って、私たちが創った装置がきちんと機能しているか、色がセットにマッチしているかなどを確認する予定です。建設は数年前から始まっていましたが、私たちメディア部門はここからが本番です。
<ファンタジー・スプリングス>のオープンを心待ちにしている日本のファンにメッセージをお願いします!
私たちは東京の皆さんに楽しんでいただけるよう、懸命に取り組んでいるところです。皆さんも楽しみにしていただいていると思いますが、私自身も完成をとても楽しみにしています。きっと皆さんにも気に入っていただけるはずです。既に素晴らしいディズニーシーに、さらに新たな魔法が加わることになります。皆さんにもワンダフルなアトラクションたちを体験していただきたいです。昔ながらのキャラクターたちに新たなキャラクターたちが加わった、他にはない体験をお楽しみください。オープンした後で、私もまた東京へ行くのが待ちきれません!
(フロントロウ編集部)