『タイタニック』伝説的なレオナルド・ディカプリオのオーディション
1997年に公開され、当時の世界最高興行収入となる大ヒットを記録した映画『タイタニック』は、『ターミネーター』や『エイリアン2』でSF映画の監督として有名になっていたジェームズ・キャメロン監督が、ジャンルにとらわれないヒットメーカーであることを証明した。
そして、若きケイト・ウィンスレットとレオナルド・ディカプリオの演技と共演も、観客の心を掴んだが、じつはレオナルドは本作で落選となるところだったという。その理由は、態度の悪さ! 映画が公開された時に23歳だったレオナルドは、オーディションの頃には20歳前後だったと思われる。そのため、ある出来事が起こっていたよう。キャメロン監督が、米GQのインタビューで振り返った。
レオナルドとの初ミーティングでは、順調どころかレオナルドがジャック役になるだろうと思っていたという監督。というのも…?
「あのミーティングは面白かった。カンファレンスルームに座って、俳優を待っていたわけですが、周りを見渡したら、事務所のすべての女性が同じ理由でミーティングに参加していたんです。女性のエグゼクティブプロデューサーがいました。OK、分かるよ。でも私たちの会計士まで?(笑)。彼女たちは全員レオに会いたかったんです。あれは面白すぎました。周りを見回して、“ここでの質問(誰を合格にするか)への回答はもう分かっていると思うな”となりました」
彼を一目見るために、キャスティングには関係のないスタッフまで大集合! それだけで当時の彼の人気がうかがい知れるが、さらにオーディションでの演技によって監督も含めて全員を魅了したという。そして、それはレオナルドも実感していたのだろう。その数日後に今度はケイトと一緒に演技をしてもらい、ペアとしての相性を見る目的で、レオナルドを呼んだという監督。しかしレオナルドはケイトと顔合わせのミーティングだと思っていたそうで、演技をするよう指示した監督に反抗!
「彼は『脚本を(声に出して)読めってことですか?』と言い、私は『そうだよ』と答えました。すると彼は『あ~、僕は読みません』と言ったので、私は『そうか、来てくれてありがとう』と言って彼と握手をしました。すると彼は『待って、待って、待って、待って。もし僕が読まなかったら、このまま役を得られないってことです?』と言ったので、『あぁ、そうだよ。もちろん。これは超大作で、私の人生の2年をかけて作る。私がポストプロダクションや模型作業といった事をしている間に、君は他に5作品出演できるだろう。だからキャスティングで間違った判断をして、それをめちゃくちゃにするなんてことはしない。だから君は脚本を読むか、この役を得られないかだ』と伝えました」
監督の言い分はプロフェッショナルとして当然だが、レオナルドは「『はぁ~、オ~ケ~』という感じで、部屋に入ってきた時には存在すべてからネガティブな雰囲気が漂っていました」という。ではなぜレオナルドは合格したのか? それはやはり、彼の演技力だった。
「私が『アクション』と言う直前まではね。すると彼は、ジャックになったんです」
原因がなんであれ、ふてくされている時に気分を切り替えるのは難しいこと。しかしその状況でも、演技を始めれば「ジャックになった」と言われるほどだったレオナルドの演技、存在感、そして気持ち・雰囲気を切り替える力はさすが。
ちなみにレオナルドは、大変な労働環境だった撮影中にも悪態をついていたことで知られている。
そんな制作のなかで監督はレオナルドからの意見にアドバイスをしていたと言い、レオナルドはその後をキャリアを考える方法は知っていたが、それぞれの段階で何をすべきかを分かっていなかったと指摘する。そんな若かったレオナルドも今では48歳となり、演技派としてキャリアを確立。『タイタニック』の経験が彼の経験値になっているのは確かなよう。
(フロントロウ編集部)