シーズン2は“10倍”もスキャンダラスになる
シーズン2のフォーカスのひとつは“ヒエラルキー”
ジョシュア:今シーズンはヒエラルキー(階級制)という考えにフォーカスを置いています。現代のティーンエイジャーは、ヒエラルキーとそのなかでの自分の立場、そして階級制のネガティブな側面をよく知っています。彼らは、本当に大切なのは資質であることを知っています。それでもなお、ヒエラルキーの中で勝ちたがる人たちがいて、それはトランプのような人たちの鏡のようなものです。(シーズン2で権力抗争を繰り広げる)モネをトランプと同一視するわけではありませんが、モネは、“世界が軟弱で退屈になるのを許さない”と言うような人物なのです。ですからこのドラマでは、全員が平等でありたい、全員が永遠に友達でいれたらいいと言う人がいながらも、他の人たちを押しのけてでもトップに立ちたいという欲求が存在することに焦点を当てています。
オリジナル版により近づくシーズン
ホイットニー・ピーク(ゾヤ・ロット役):すべての展開が10倍に爆発するから、期待しててください。道徳的に許されないような絡みもあれば、応援している人たちが愛を見つけて浮き沈みを経験し、自分の求めるもののために闘うのを見ることができるはずです。
エミリー:オリジナルシーズンに近いと言えると思います。(シーズン1で)みんなを紹介できたので、これからは目まぐるしく展開していき、騒動や下世話なことが濃密になっていきます。そして、ジョージーナ・スパークスが帰ってきますね。
ザイオン・モレノ(ルナ・ラ役):オーディエンスがシーズン1で見たかったであろうものを見られることが楽しみです。これはオリジナル版に敬意を払っているようなシーズンですね。キャットファイトもあれば、イジワルもある。ただ同時に、キャラクターたちの奥行も広がります。
イーライ・ブラウン(オットー・“オビー”・バーグマン4世役):シーズン1でのオビーは、まるで小さな子犬のように迷いがありました。僕自身、ジョシュに何度か言ったんです。「オビーが自分らしさを持ち、打席に立つところが見たい」と。今シーズンではオビーの成長が見られますよ。
グレイス・ドゥア(シャン・バーンズ役):このシーズンでは、子どもが親に反発することがテーマのひとつになっています。親への反抗心からすごい行動をしてしまう、というようなね。でもシャンはそういう子ではないのです。シャンにはそのような動機はありません。
先生たちのモラルもヤバくなっていく
ジョシュア:(シーズン1で)視聴者にキャラクターたちを紹介できました。だから今回は、キャラクターたちの行動の理由を説明する必要が減り、より多くの濃密な時間をキャラクターと過ごすことができました。例えばシーズン1では先生たちの行動をモラル的に有りにする形で説明する必要がありました。しかし絶対的な権力は絶対的に崩れます。シーズン2では彼らが権力に溺れてしまうんです。
『ゴシップガール』のストーリーはどう生まれている?
若い世代の考えを取り入れるために、若い世代のライターを起用している
ジョシュア・サフラン(製作総指揮):ライターズ・ルームには私のような(ベテランの)ライターもいれば、キャラクターたちの年齢に近いライターもいます。(90年代のドラマ)『アンジェラ 15歳の日々』を見ていた頃の私は若い登場人物たちに共感しましたが、今の私は親たちに共感します(笑)。だから今はキャラクターたちに近いライターたちを起用して、彼らが思うことや感じることを話してもらうのです。(フェミニズム運動など)社会で起きている動きは間違いなく認識していますよ。
キャリア史上最も多様な現場が、多様なストーリーを生み出している
ジョシュア:私を含め、ライターの多くがクィアだと自認しています。キャストやクルーでも多様なレプリゼンテーション(表象)がありますね。私が今まで働いたなかで、最も多様なセットだと言えると思います。それって素晴らしいことですよね。私たちはただ単にストーリーを作っているのではなく、これは私たちのストーリーなのですから。
『ゴシップガール』のライターズ・ルームは非常にオープンな空間です。素晴らしいライターズ・ルームはグループセラピーのようなものだといつも思っています。みんなが自分の経験を自由に言える空間。初めて恋に落ちたとき、初めてセックスをしたとき、寝るべきではない相手と寝たとき。そういったことがどんどんあふれ出てくるのです。『ゴシップガール』のストーリーはそのように生まれています。それぞれが経験していることだからこそ、より深みへと行けて、観客に共感してもらえる。
あるエピソードでは、初めて同性と交際するなかでボトミング(※ウケ、アナルセックスで挿入される方)に不安を感じるシーンがあります。これはゲイ・コミュニティではよくある話ですが、ゲイの男性である私はテレビでそのような描写を見たことがありません。そしてこのシーンは、ライターズ・ルームやキャスト、クルーとの会話のなかから誕生したストーリーでした。深く正しいレプリゼンテーションは、(当事者の話を)しっかり聞くことと正直になることから始まるのです。
多様性の描き方とインティマシー・コーディネーター
多様な性自認や恋のカタチを描く
トーマス・ドハーティ(マックス・ウルフ役)ドラマのライターたちは、世界に存在する多様な恋のカタチやアイデンティティにスポットライトを当てているという点で素晴らしい仕事をしていると思います。今はそういったことを安心して冒険できる時代になってきましたから、それを実行していると思いますよ。
エミリー・アリン・リンド(オードリー・ホープ):多様な人がいるということにスポットライトを当てるだけでなく、ノーマライズ(※標準化、普通のこととすること)しているとさえ言えると思います。オードリー、アキ、マックスはトライアド(※女性1人、男性2人の交際)の関係にありますが、テレビでそのような関係を見ることはほぼないです。今までならこういう役はステレオタイプの強い描き方がされてきましたが、この作品では、視聴者が自分と同じ何かをその役に感じて共感してくれているのは素晴らしいことだと思います。
インティマシー・コーディネーターの起用が作品をより良くする
ジョシュア:現場には素晴らしいインティマシー・コーディネーターがいます。コーディネーターがいることは、すごくすごく重要なことです。なぜなら、役者たちが役になりきってリアルに演じながらも安心して演じられるからです。そうなると、より深い場所へと行けます。
サバンナ・リー・スミス(モネ・デ・ハーン):インティマシー・コーディネーターは、親密なシーンにおいて役者が安心できて、役者にとって「え!?」というようなサプライズがないようにしてくれる存在です。
(大乱闘のシーンでは)スタント・コーディネーターがケンカの振り付けをしてくれました。すべての動き、ひとつひとつが決められていて、そのおかげで安心したし安全に取り組めました。
オリジナル版を間違いなく超える“コメディ”
現場ではコミカルなシーンほど演じやすい
エミリー:前にジョシュアに言われたんです。「君たちをここまでコミカルに描くつもりはなかった」って。私やエヴァンのやり取りのなかでどうしても面白い部分がにじみ出てしまっていたようで、次第にコミカルなシーンが加わっていったらしいのです。だからこそ、視聴者はこの3人が好きなんじゃないかなと思います。
トーマス:僕ら3人は本当に仲が良いし、ユーモアのセンスも近いから、コミカルなシーンはそのままいけば良いくらいなんです。逆に、シリアスなシーンほど笑ってしまってやりにくい(笑)。
エヴァン・モック(アケノ・“アキ”・メンジーズ役):今だって、トーマスがとくに何も面白いことを言っていないのに笑ってしまいそうです。見た目が面白いんですよね。そのヒゲルックじゃ、何を言っても笑っちゃうよ。ヒゲがまったく生えない僕としては羨ましいけどさ。
でもトーマスが正しいです。シリアスなシーンほど、テイク間に起きた面白いことで笑いが止まらなくなってしまう。とくにトーマスは次に何をしだすか分からないから、シーンに集中してセリフを思い出すのに必死ですよ。
エミリー:つまり、私たちは出来の悪い俳優なんです(笑)。
キャストみんなでザイオン・モレノの誕生日をお祝い
サヴァンナ:エミリーと私でザイオンに盛大な誕生日パーティーを開くことになったのですが、私たちらしく、ギリギリで計画を始めたのです。5日前になってあちこちに電話して、場所を抑えたり、ザイオンの大切な人たちに連絡を取ったりして、バタバタでしたがやり遂げました。
ザイオン:本当にサプライズだったし、すごく心温まる経験でした。最後にバースデーパーティーを開いてもらったのは、10歳のときのスポンジ・ボブをテーマにしたパーティーだったのでね(笑)。本当にたくさんの人が来てくれて、70年代の音楽でたくさん踊って、たくさん泣いて、たくさん楽しみました。次の日は二日酔いがひどかったですが、人生における良い思い出のトップ3に入ると思います。
シーズン2では初の国外撮影! ローマは旅行のようだった
NYでの数ヵ月の撮影を離れてイタリアへ
エヴァン: ローマでの撮影は本当に素晴らしかったです。最後のご褒美のような感じで、最高でしたね。今シーズンはみんなずっと良い雰囲気でしたが、ニューヨークで7~8ヵ月過ごしたあとに旅にいけてみんな喜んでいましたね。夏だったから天気も良かったし、ロケーションも最高で、まるで仕事中にみんなでミニバケーションが経験できたような気分でした。周りの環境を少し変えて、別の場所で撮影することができたのも気分転換になって良かったですね。
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(フロントロウ編集部)