※この記事は2022年12月13日に公開された記事に加筆して再掲載したものです。
オースティン・バトラーがアカデミー賞候補になるまで
映画『エルヴィス』で“キング・オブ・ロックンロール”と称される伝説のシンガー、エルヴィス・プレスリーを演じた俳優のオースティン・バトラーが、映画界で最も栄誉ある賞と言われるアカデミー賞の主演男優賞にノミネートされた。
アカデミー賞の前哨戦と言われるゴールデン・グローブ賞で初ノミネートにして初受賞を果たしたオースティンが、ついにオスカー候補に。2005年に子役としてデビューしたオースティンは、10代の頃に『ハンナ・モンタナ』や『iCarly』、『ウェイバリー通りのウィザードたち』といった大ヒットドラマにゲストとして出演。
2013年に『セックス・アンド・ザ・シティ』の主人公キャリー・ブラッドショーの青春時代を描いたドラマ『マンハッタンに恋をして 〜キャリーの日記〜』 でメインキャストのひとりであるセバスチャン役に抜擢され、ブレイク必至かと思われたが、ドラマ自体の人気が低迷して2シーズンで打ち切りに。それから約3年後に主演を務めたドラマ『シャナラ・クロニクルズ』も2シーズンで打ち切りになるなど、作品に恵まれない時期が続いた。
そんなオースティンは、『ハイスクール・ミュージカル』で有名な俳優のヴァネッサ・ハジェンズと2011年から2020年まで約9年間にわたって交際していたことから、『エルヴィス』でブレイクするまでは「あの作品に出ていた人」という俳優としてのイメージよりも、「ヴァネッサの恋人」というイメージのほうが強かった。
しかし、『エルヴィス』のオーディションで、オースティンが涙を流しながら「Unchained Melody(アンチェインド・メロディ)」を歌う映像がバズ・ラーマン監督の目に留まったことで、キャリアが一変。
見事、エルヴィス役を勝ち取ったオースティンは、徹底的に役作りを行なったそうで、エルヴィス役に決まってからの約3年間、「一度も家族と会わなかった」と米Varietyのインタビューで明かしている。また、家族だけでなく誰とも話さない期間が数ヵ月あったといい、その期間が明けたときには「エルヴィスのことばかり考えるようになっていて、(会話をするときは)つねにエルヴィスの声で話していた」という。
それだけにまだエルヴィス役が抜けていないのか、ゴールデン・グローブ賞の授賞式で受賞スピーチを披露したときの“素の状態”でも、声や話し方が「まだエルヴィスっぽい」と指摘する声が相次いだ。
ちなみに、アカデミー主演男優賞にノミネートされることは、とても喜ばしいことのはずだがオースティンはなぜか「ほろ苦い」と語っている。それには理由があった。