シンガーであるグウェン・ステファニーが「私は日本人」と発言して物議を醸している。「Harajuku Girls」というシングルをリリースしたり、バックダンサーに日本人や日系アメリカ人を起用したり、キャリアを通じて日本愛をオープンにしてきたグウェンの発言が問題視されている理由とは?(フロントロウ編集部)

グウェン・ステファニーの「私は日本人」発言が問題視されるワケ

 グウェンは「私は日本人」という発言について、日本文化の「大ファン」としての「純粋な気持ち」からくるものだとしているが、今回、これが“文化の盗用”ではないかと欧米で議論の的に。このインタビューを担当したフィリピン系アメリカ人のエディターであるジェサ・マリー・カラオ(Jesa Marie Calaor)氏は「ステファニーが悪意や傷つける意図を持ってこうした発言を行なったとは思わない。しかし、傷つける可能性を持つのが必ずしも敵対的な言葉とは限らない」と記して、グウェンの発言が問題をはらんでいる可能性を指摘した。

画像: 2016年に来日公演を行なったグウェン・ステファニー。

2016年に来日公演を行なったグウェン・ステファニー。

 カラオ氏によれば、グウェンはインタビューを通して複数回「私は日本人」と発言したといい、さらには、自分には「(自分の生まれた郡である)オレンジカウンティの女の子の部分が少しと、日本人の女の子の部分が少しと、イギリス人の女の子の部分が少し」あるとも語ったほか、出身地であるアナハイムのラテンやヒスパニックのコミュニティからも影響を受けたとして、「そこの音楽や、女の子たちのメイクの仕方、服の着方、それが私のアイデンティティでした」とも語った。

 グウェンはさらに続けている。「私はイタリアン・アメリカンで、アイリッシュであれ何のミックスであれ、それが私の出自なのです。私の周囲にいた人たちなのですから」。

 他の文化からの影響を反映させることはcultural appreciation(文化の賞賛)かcultural appropriation(文化の盗用)かという議論は常に続いてきたが、ペンシルベニア大学のファリハ・I・カーン博士は米Allureに、それが盗用になるかは“商業化と不平等な力関係”が鍵になるとして、「あるグループが別のグループから歴史的に周縁化されていたり人種で分けられていたりした場合、力関係の問題が文化の盗用における中心となります」「支配的なグループは、周縁化されたグループの習慣や慣例を、元々の脈絡や意義なしで利用(もしくは盗用)する力を持っているのです」と説明した。

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