シンガーであるグウェン・ステファニーが「私は日本人」と発言して物議を醸している。「Harajuku Girls」というシングルをリリースしたり、バックダンサーに日本人や日系アメリカ人を起用したり、キャリアを通じて日本愛をオープンにしてきたグウェンの発言が問題視されている理由とは?(フロントロウ編集部)

グウェン・ステファニーが「私は日本人」と発言した理由

 日系ではないグウェンが「私は日本人」と発言したのは文字通りの意味ではなく、ヒスパニックやラテンの文化も「アイデンティティ」になっているとした発言も含めて、自身がそれらの文化から影響を受けてきたという意味であり、グウェンは「もしも美しい何かのファンであることや、それをシェアすることで私が批判されるのであれば、それは正しいことではない気がします」と米Allureに語って、自身の発言を擁護している。

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 さらに、「あれは美しいクリエイティビティの瞬間でした。原宿カルチャーとアメリカのカルチャーによる卓球のラリーのような瞬間だったのです」と、自身の表現は原宿からの影響とアメリカからの影響をミックスしたものだったとして、「他のカルチャーにインスパイアされてもいいはずです。それが許されなければ、人々は分断されることになります。そうではありませんか?」と提起した。

 グウェンは2021年にも日本文化に対する自身のスタンスについて同様の発言を行なっており、米Paperとのインタビューで「もし私たちが別のカルチャー同士を買ったり売ったり、取り入れ合うようなことをしていなければ、ここまでの美しさを手にすることができていなかったと思います」「私たちはお互いから学び、お互いにシェアし合い、協力しながら成長していくのです」と語っていた。

 一方で、とりわけ新型コロナウイルスの発生後に、欧米では日系人を含むアジア系へのヘイトが増加したのも事実。米Allureのカラオ氏は、自身はアジア系として日常的にヘイト犯罪に巻き込まれる恐怖があるとした上で、「苦痛や恐怖にもなり得る物語の一部になることなく、この活気に満ちた創造的なコミュニティの一部になれる人のことを羨ましく思う」とも記している。

 グウェンの表現や発言には日本カルチャーへの愛や賞賛する気持ちがあることは確かだが、本人が好意の意味でやっていても、その文化に属する人が直面する社会的な問題に目を向けない場合は文化の盗用と判断されてしまう場合がある。さらに今回に関しては、とくに、「日本の文化が好き」ではなくあえて「私は日本人」という言い回しにしたことに不快感を覚えている人が欧米では多いよう。Harajuku Girlsのようなファッションが好きだから日本人になれるのではなく、日本人は多様な歴史や文化を背景に持つ国民なのだ、という意見が聞かれている。SNS上では、今回の件が文化の盗用か賞賛かについて議論が飛び交っている。(フロントロウ編集部)

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