娘の自由な精神を育むには?
2014年にカナダのブリティッシュコロンビア大学の研究チームは、7歳から13歳の326名の子どもたちを調査。母親と父親によるジェンダーロールに即した行動、即していない行動が、娘や息子の野心にどう影響するかを調べた。
すると、父親が、女性のジェンダーロールとされる料理や掃除、子育てなどを行なう家庭では、娘は“女性の仕事”とされがちな看護師や教師、専業主婦などを目指す傾向が低く、ジェンダーに縛られず、医師や弁護士といった仕事を目指す傾向が高いことが明らかになった。
また興味深いことに、父親の行動に関係なく、息子はジェンダーステレオタイプに沿ったキャリアを選ぶ傾向があったという。
このことについて、研究リーダーである、当時博士課程だったアリッサ・クロフト氏はカナダのCBC Newsに、このような分析をコメントしている。「これが示しているのは、とくに少女たちは、両親が家庭内において伝統的な区切りで労働をしているのを見ると、自分自身の情熱や望みを制限してしまうということです」。
また、性別にかかわらず子どもたちの考え方は、母親が持つ家庭におけるジェンダーロールについての価値観に影響を受けていることも分かった。
将来の夢にかかわらず、ジェンダーステレオタイプは若者たちのメンタルヘルスに良くない影響を与えることは、もう長年の問題となっている。女の子であれば、自分の外見への過度なプレッシャーを感じていたり、女の子は出しゃばらないほうが良いとの考えから、自分の能力を抑えてしまったりする。男の子であれば、弱さを見せてはいけないと考えてしまって自分の悩みを相談できなかったり、例え“女の子がすべきこと”とされるようなメイクやお菓子作りが好きでも出来なかったりする。
そしてそんなジェンダーステレオタイプは、赤ちゃんの時から植えつけられている。というのも、周りの大人たちが、赤ちゃんの性別で言うことや態度、行動を変えるから。2017年にイギリスで実施された実験では、大人がワンピースを着た赤ちゃんには人形やぬいぐるみなどを与え、ズボンを履いた赤ちゃんにはパズルや車のおもちゃを与える傾向があることが明らかにされた。
そして、子どもは大人の行動を見ているもので、大人の間での行動変化が子どもの行動に影響する。言葉で「君なら何でもできるよ」と伝えるのも良いが、行動で示すのも大事なよう。
(フロントロウ編集部)