2021年に映画『Rust』の撮影現場で俳優のアレック・ボールドウィンが小道具の銃を誤射し、撮影監督が死亡した事故で、検察はなぜアレックを過失致死容疑で刑事訴追した?フロントロウが解説。(フロントロウ編集部)

アレックはなぜ過失致死容疑で訴追された?

 アレックが過失致死容疑で訴追された理由について、米CNNの取材に応じたニューメキシコ州サンタフェメアリー・カーマック=アルトワイズ地区検事はこのように説明している。

1. 銃を扱う者は皆、安全を確認する義務がある

 「銃を扱う者は皆、人に向けて引き金を引く場合、弾丸を発射して人を殺すようなことがないように確認する義務があります。俳優だからといって特別扱いされることはありません。それがとても重要なことなのです。ここニューメキシコ州では、誰もが法の下に平等です」

2. 撮影現場は安全が確保されていない状態だった

 「(『Rust』の)撮影現場は、安全・安心の基準が欠如していました。セットには実弾がありました。誰もちゃんと銃を確認しておらず、一貫した確認作業が行われていませんでした。そして、どういうわけか、アレック・ボールドウィンに渡された銃に(実弾が)装填されたのです。彼もそれを確認しませんでした。彼は自分の安全や周囲の人の安全を確保するために、やるべきことを一切やらず、アリナ・ハッチンスに銃口を向け、引き金を引きました」

3. 事故であっても犯罪でないとはかぎらない

 「事故だからといって、犯罪でないとはかぎらないのです。過失致死罪は意図的でない殺人を対象としています。故意でない=意図してやったわけではないということです。殺意がなかったということです。しかし、それ(事故)は起きました。過失以上のものがあったからこそ起きたことです。慎重さを欠いたために、このような事態になったのです」

4. 銃の引き金は間違いなく引かれた

 「FBIの研究所は世界でもトップクラスです。(アレックは『引き金を引いていない』と主張しているが)我々は、銃が発射されるには引き金が引かれなければならなかったと確信しています」

5. アレックにはプロデューサーとしての責任がある

 「アレックは銃の引き金を引いた俳優としてだけでなく、プロデューサーとしても責任があります。彼には撮影現場の安全性を確認する義務があり、我々の調査では、(死亡事故が起きる前にも)誤射の事故があったことがわかっています」

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