1. チャールズ国王から生まれたその日に「スペア」と呼ばれた
2023年1月10日にイギリスで出版された、2020年3月末をもって高位王族の座を退いたヘンリー王子による回顧録『Spare(原題)』。本書につけられた“予備”や“代わり”を意味する“Spare”というタイトルは、古くから君主とその兄弟が「継承者とそのスペア」と表現されてきたことに因んでつけられたものだが、ヘンリー王子は父親であるチャールズ国王から、生まれたその日に「スペア」と呼ばれたと本書のなかで明かしている。
ヘンリー王子は本書で、ダイアナ元妃が自分を出産した日に、チャールズ国王がダイアナ元妃に「素晴らしい!君は私に後継ぎと“スペア”を与えてくれた。これで私の仕事は終わりだ」とジョークを飛ばしたと綴っている。ヘンリー王子はこれがチャールズ国王のジョークだとしつつも、「冗談で言った本当の言葉も多い」と、国王の本心も混じっていたと理解していると綴った。
“スペア”という立場に置かれてきた心境についてはこう綴っている。「私は影であり、支えであり、プランBでした。ウィリアムに何かあったときのために、私はこの世に生を受けたのです。私は援護と気晴らし、陽動のために召集されました。このことは人生という名の旅の始まりから、すべて明確にされていたのです」。