2022年にアンダーソン・パークのレーベルからデビューしたデュオ、ドミ&JD・ベック。同年度の第65回グラミー賞では主要部門である最優秀新人賞を含む2部門にノミネートされ、2023年5月に伝統あるブルーノート東京で初の来日公演として行なわれる6公演は、発表から間もなくして完売。埼玉県秩父ミューズパークにて開催されるLOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL JAPAN 2023への出演も控える、ジャズ界に彗星の如く登場した2人に来日直前インタビューを実施し、デビューの経緯から、シルク・ソニックとの共作でのブルーノ・マーズとの秘話、アリアナ・グランデの共演、デビューアルバム『ノット・タイト』まで、様々なことについて訊いてきた。電話越しにも2人の相性の良さがヒシヒシと伝わってきたインタビューで分かった、ドミ&JD・ベックについて押さえておきたい12のコトをご紹介。(フロントロウ編集部)

5. ジョークがきっかけでアリアナ・グランデとの共演が実現

 ドミとJDの2人がデビュー前に経験した最も大きなステージの1つが、2020年のAdult Swim Festivalで実現した、サンダーキャットとアリアナ・グランデとの共演。デビュー前の早い時期からドミとJDの才能を買っていたサンダーキャットは、Adult Swim Festivalのステージで2人にバックバンドを務めてもらうことを決めていたものの、誰をゲストアーティストに呼ぶか、決めかねていたという。

 そこで、2人はアリアナが以前、サンダーキャットの「Them Changes」をカバーしていたことを思い出し、ジョーク混じりに彼女の名前を提案したそう。「僕らはジョークとして、アリアナの名前を出したんです(笑)」とJDは振り返る。「そしたら、サンダーキャットが本当にアリアナにメッセージを送って、訊いてみたら、OKしてもらえたんです!」とドミ。2人とも、リハーサルと本番の2日だけ会うことができたアリアナの才能には圧倒されたと振り返った。ちなみに本番当日は、アリアナと「一緒にパフォーマンスして、ヴィーガンフードを一緒に食べて、それで解散」という流れだったという。

6. アンダーソン・パークは母親のような存在

 サンダーキャットがアンダーソン・パークとツアーを行なっていたときに2人を誘って、そのときに2人がアンダーソンと初めて対面。そして2人は2022年に、アンダーソンのレーベルであるエイプシット・インクからデビューを果たした。

 “2人にとってアンダーソンはどのようなメンターですか?”と話を振ってみると、「母親のような存在ですね(笑)」とJDが即答。「何かにつけて僕らのことを気にかけてくれます。僕らが自覚していないような場面も含めて、多くの点で僕らにとっての偉大なメンターであり続けてくれていると思います」

画像: 第65回グラミー賞授賞式で、誇らしげにドミ&JD・ベックを紹介するように写真に収まるアンダーソン・パーク。

第65回グラミー賞授賞式で、誇らしげにドミ&JD・ベックを紹介するように写真に収まるアンダーソン・パーク。

7. シルク・ソニックの「Skate」は30分で書き上げた

 デビュー前の2021年に、師匠アンダーソンとブルーノ・マーズによるスーパーユニットであるシルク・ソニックと共に、彼らの「Skate」を共作したドミとJD。この楽曲は、2人がブルーノと会ったときに「君たちは素晴らしいけど、ヒット曲は書けない。そうだろう?」と言われたことで火がつき、「あなたのためにヒット曲を書いてみせますよ」とブルーノに伝えて取り掛かった楽曲だという。

 そんな経緯で「Skate」に取り掛かった2人だが、完成に費やした時間は、なんとたったの30分! 「チャレンジでしたけど、30分で書き上げました(笑)」とJDは誇らしげに振り返る。「アンダーソンとブルーノが帰ったあとで、『絶対書いてみせようね!』っていう話をしました。あの曲を書いたことはポジティブでしたし、励みになりましたね」とドミも語った。

画像: 7. シルク・ソニックの「Skate」は30分で書き上げた

 一見すると、ブルーノの発言はキツいものに思えるかもしれないが、アンダーソンもブルーノも思ったことをドミとJDに正直に伝えてくれるといい、そのように大先輩から率直なアドバイスをもらえる環境こそ、「アンダーソンとの契約で得られた最も大きなことの一つです」とJDは語る。「それから、彼は絶対に僕らを変えようとはしません。例え彼が理解できないものがあったり、必ずしも好きになれないことがあったりしたとしても、僕らのことを心から信じてくれます。彼はいつだって僕らに寄り添い、僕らの直感を信じてくれるのです。だからこそ、この関係は掛け替えのないものになっています」。

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