2022年にアンダーソン・パークのレーベルからデビューしたデュオ、ドミ&JD・ベック。同年度の第65回グラミー賞では主要部門である最優秀新人賞を含む2部門にノミネートされ、2023年5月に伝統あるブルーノート東京で初の来日公演として行なわれる6公演は、発表から間もなくして完売。埼玉県秩父ミューズパークにて開催されるLOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL JAPAN 2023への出演も控える、ジャズ界に彗星の如く登場した2人に来日直前インタビューを実施し、デビューの経緯から、シルク・ソニックとの共作でのブルーノ・マーズとの秘話、アリアナ・グランデの共演、デビューアルバム『ノット・タイト』まで、様々なことについて訊いてきた。電話越しにも2人の相性の良さがヒシヒシと伝わってきたインタビューで分かった、ドミ&JD・ベックについて押さえておきたい12のコトをご紹介。(フロントロウ編集部)

8. アルバムはデヴィッド・リンチの映画と同じ

 「結成してから今まで、5年間ずっと僕らに付いて回ってきたフレーズなんです。“時間に縛られない”とか、そういういろいろな意味でね」とJDは2022年8月に満を持してリリースしたデビューアルバム『ノット・タイト(NOT TiGHT)』のタイトルに込めた思いについて語っている。

 若くして抜群の演奏技術を持ち、天才として将来を期待されてきた2人だが、ドミは「自分たちのことを深刻に考えすぎないようにしたかった」と打ち明ける。「もちろん、音楽には真剣に向き合っていますが、自分たちのことは深刻に捉えたくなくて。なので、『私たちの音楽って最高!』みたいな態度は、一番やりたくないことでした。そういうふうにはなりたくなかった。私たちの間ではよく、『それ硬い(tight)ね。それは硬くない(not tight)』みたいな会話をしていました」。

 JDは『ノット・タイト』というタイトルについて、意味が「千通りくらいあると思います。いつだって違う意味を持つのです」と語ると、ドラマ『ツイン・ピークス』などで知られる映画監督のデヴィッド・リンチの作品を引き合いに出して次のように続けた。「デヴィッド・リンチ監督の映画のようなものですよ。芸術において最も大切なのは、自分なりの意味を見出そうとすることです。芸術とはそうあるべきだと思います。それぞれのものであるべきなんです」。

9. 作曲では楽器を使わない

 意外かもしれないが、2人がソングライティングを行なうとき、楽曲が出来上がるまでは楽器を使わない。それは、これまでにあまりに演奏してきたために、無意識なレベルにまで、過去に演奏してきた楽曲が体に染み付いているから。

 「楽器を使って作曲をすると、結局はありきたりなものになってしまうということに気が付きました」とJDは話す。「楽器を使わない形で楽譜を書いたり、音楽を作ったりすることの利点の一つとして、自分たちが書きながら学ぶことで、楽曲に新しい命を吹き込めるということがあると思っています。それまでに演奏したことがないものができあがるので、僕らもそれを学ぶ必要があるんです。それこそが、楽曲制作の好きな部分ですね」

10. マック・デマルコら豪華コラボレーターは友人

 待望のデビューアルバム『ノット・タイト』には、アンダーソンはもちろん、サンダーキャットやスヌープ・ドッグ、ハービー・ハンコック、バスタ・ライムス、マック・デマルコ、カート・ローゼンウィンケルという豪華なアーティストがフィーチャリングで参加しているが、多くは2人の友人でもあるという。「ほとんどが近しい友人なんです。サンダーキャットもそうですし、マック・デマルコもアンダーソン・パークも」とドミ。

 「カート・ローゼンウィンケルは僕らにとってのメンターのような方ですしね。自分たちを取り囲むサークルをそのままアルバムに持ち込めたことを本当に幸運に思っていますし、音楽界のアイドルたちを親友と呼べるのは最高に嬉しいことです。心から尊敬している人たちですし、実質、唯一の友人たちでもあります(笑)」とJDは明かした。

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