ミシシッピ州に住むトランスジェンダーの17歳の少女は、高校から男性の服装をするように求められ、卒業式を欠席。少女の担当弁護士は「差別的」だと主張し、高校に対する訴訟を提起したが、認められなかった。(フロントロウ編集部)

学区長が女子生徒に「男子生徒の服装規程」に従うよう要求

 ミシシッピ州の17歳の少女は、自身の正しい性別である女の子として高校に入学し、高校生活を女子生徒として過ごしたという。これまでのイベントでは、ドレスや世間一般で“女性らしい”とされる服を着て出席し、プロムと呼ばれる卒業生のためのダンスパーティーにもフォーマルなドレスとヒールを履いて出席した。

 しかし今月の卒業式で、ハリソン郡学区のミッチェル・キング教育長が、「男の子のように、ズボン、靴下、靴」を履くよう要求してきたという。この学区では、男子卒業生は白いシャツと黒のスラックス、ネクタイ、女子卒業生は白いドレスと服装が規定されており、少女は女子生徒の服装規程に従った服を購入していた。

 この突然の要求を受け、アメリカ自由人権協会(ACLU)のリンダ・モリス弁護士が少女に代わって差別訴訟を起こした。「私たちのクライアントは、明らかに差別的な理由で辱めを受け、家族は娘の人生における一生に一度の節目を否定されています」としたモリス弁護士は、「ジェンダーを理由に卒業式を欠席させられるのは間違っている」と主張した。

 高校側の弁護士ウィン・クラーク氏は法廷文書で、「卒業式への参加は任意であり、憲法で保護されていない」とコメント。加えて、少女はすでに卒業しているため、もはや学生ではないと主張。そして、キング教育長は法廷で、学区では生徒の性別を出生証明書に記載された性別で判断すると証言した。ちなみに、アメリカ医師会やアメリカ小児科学会をはじめとする主要医療団体は本人の性自認を認めることを推奨している。

 裁判の結果、米時間5月19日(金)の判決で、テイラー・マクニール連邦地裁判事は学区が生徒に服装制限を課すことを容認。ACLUはツイッター上で「非常に残念で憂慮すべきものだ」とコメント。この判決は「喜びと誇りの日」である卒業式の日に「恥と屈辱を投げつけるようなものだ」と主張した。

 裁判の結果を受け、少女は「自分らしくいるか、卒業式を祝うか」の二択を迫られ、翌20日(土)の卒業式には参加しないことになった。

 担当のモリス弁護士はACLUのブログ投稿で「服装規定は差別的であってはならない」と主張し、「自らの性自認や性表現に合った服装を学生に許可」するよう求めた。「私たちが着ている衣服、アクセサリー、ヘアスタイルは、アイデンティティを表現する方法の一つであり、学校は生徒に厳格で差別的なジェンダー規範に基づいて、外見や行動を強制することはできないからです」。(フロントロウ編集部)

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