最新作『オッペンハイマー』でもそうであるように、映画作品に「ワンワード(ひと単語)」のタイトルをつけることで知られるクリストファー・ノーラン監督。その理由は?(フロントロウ編集部)

クリストファー・ノーラン監督作品のタイトルの秘密

 1998年の長編映画デビュー作品『フォロウィング』、『メメント』、『インソムニア』、『インセプション』、『インターステラー』、『ダンケルク』、『テネット』、『オッペンハイマー』と、クリストファー・ノーラン監督作品のタイトルは単語ひとつ(ワンワード)が基本。過去作があるスーパーヒーロー作品であるバットマン3部作と『マン・オブ・スティール』を除くと、ワンワードではない映画は2006年の『プレステージ』のみ。日本語ではワンワードのタイトルとなったが、英語では『The Prestige』と2ワードとなった。

 ノーラン監督は、ワンワードのタイトルを選ぶ理由についてReelBlendのポッドキャストで明かしたことがある。

 映画の題名をひと言にすることに「隠れた意味はあるのか?」と聞かれたノーラン監督は、「ノー」と即答。「タイトルはあまり自意識過剰になりすぎると厄介です」と続けると、テーマやメッセージを伝える「最もシンプルなバージョン(のタイトル)に惹かれる」と明かし、だからこそ、「可能な限り短くて簡潔」なワンワードというタイトルを選んでいることを明かした。

 またノーラン監督は、ワンワードというタイトルは「大規模な映画においては、ブランディングの練習にもなる」と説明。

 よく選ばれたタイトルは、話題と期待を呼び起こし、観客を引きつけ、それ自体が象徴的な存在になることさえあり、とくに世界中の観客にリーチする大規模な映画では、多様な人に映画のテーマやトーン、物語を伝え、観客の心の中で際立つ強力で明確なブランドとなる。ノーラン監督が「ブランディングの練習だ」と語るのは、ビッグスケール作品において観客に訴えるべきものを明瞭にするということなのかもしれない。 

 そんなノーラン監督の最新作『オッペンハイマー』は、原爆の父と称される理論物理学者J・ロバート・オッペンハイマーを題材にした作品。彼の“栄光”と“悲劇”に焦点を当てたマーティン・J・シャーウィン著の伝記が基になっており、ホラー要素のあるスリラー作品になるそう。

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