機内で性被害に遭った母娘が航空会社を提訴
アメリカのニューヨークからギリシャのアテネへ向かう飛行機の機内で酔っ払った乗客から性的暴行を受けた母親と10代の娘が、航空会社に重大な過失があるとして、200万ドル(約2億8,000万円)の損害賠償を求めてデルタ航空を提訴したことがわかった。
事件が起きたのは2022年7月26日(現地時間)。デルタ航空の客室乗務員は被害者たちの隣に座っていた“明らかに酔った男性”に、ウォッカ10杯とワイン1杯を提供し、さらに助けを求めたにもかかわらず「あからさまに無視」したと被害者たちは主張している。
米Fox Businessが入手した法的文書によると、加害者とされる男性が、わいせつなジェスチャーをしたり、当時16歳の娘に住所を含む個人情報を教えるよう要求したりしてきたため、母親が男性に娘がまだ未成年であることを伝えたところ、男性は「気にしない」と言って、娘に手を伸ばして掴もうとしてきたという。被害者たちはデルタ航空の客室乗務員に身の危険を感じていることを伝え、席の移動と、男性にこれ以上アルコール飲料を提供しないよう求めたが、「我慢してください」とだけ言われたと文書には書かれている。
ある時点で責任者が介入し、男性に被害者たちに話しかけないよう注意したが、そのことに腹を立てた男性は冒涜的な言葉を叫び、被害者たちを罵ったといい、言葉による嫌がらせから性的暴行に行為がエスカレート。男性が母親のシャツの下に手を入れて、ブラジャーの留め金に触れたのを目にした娘はパニック発作を起こし、泣きながら席を立って、加害者とされる男性から遠ざかった。しかし、それでも男性は行為をやめようとはせず、母親の太ももに手を置き、さらにその手を太ももの内側に移動させてきたと訴状には記されている。なお、この出来事のあと、母親も席を立った。
その後、見かねた別の乗客の男性が娘と席を交換し、残りのフライトのあいだずっと母親と加害者の男性のあいだに座ってくれたそう。
ちなみに、飛行機が着陸したあと、デルタ航空のスタッフは地元当局や法執行機関に通報することなく加害者の男性が飛行機から降りるのを許し、母親と娘にお詫びとして5,000マイルを提供しただけで済まそうとしたとFox Businessは伝えている。
デルタ航空は今回の訴訟についてのコメントを控えているが、Fox Businessへの声明で、「我々は不適切または違法な行為を行う顧客を一切容認しません。お客様と従業員の安全よりも重要なことはありません」と述べている。