スペインを中心にサッカー界で騒動となっている、スペインサッカー連盟会長による女性選手への同意ないキス。スペイン国内では「SEA CABO(もう終わり)」というフレーズと共に、女性の権利を侵害する権力者たちの一掃を求める声が強まっている。(フロントロウ編集部)

スペインサッカー界の不適切な権力者たちに「SEA CABO(もう終わり)」

 2023 FIFA女子ワールドカップの決勝戦で、初優勝を飾ったスペインのMFジェニファー・エルモソ選手の唇にスペインサッカー連盟会長のルイス・ルビアレス氏が突然キスした事件。国内外から強い批判を受けているルビアレス氏は、その後、スペインサッカー協会の総会で、エルモソ選手から事前に了承を得たうえでのキスだったと主張し、「この国の災いの一つである偽りのフェミニズム」によって「社会的に抹殺」されそうになっているとコメント。同意のうえだったという主張は、その後すぐにエルモソ選手からの声明で否定された。

画像: 優勝セレモニーで突然エルモソ選手の頭を両手でつかみ唇にキスしたルイス・ルビアレス氏。

優勝セレモニーで突然エルモソ選手の頭を両手でつかみ唇にキスしたルイス・ルビアレス氏。

 そして今回、ルビアレス氏が総会で「偽りのフェミニズム」についてスピーチしていた時に拍手していた、スペイン女子代表のホルヘ・ビルダ監督がルビアレス氏を批判するコメントを現地のメディアEFEにした。

 ビルダ監督はルビアレス氏の行為を「私が持っている原則や価値観とは相容れないもので、到底容認できない」「先進国や発展した社会には適さないマッチョな態度を批判します」と批判。そのうえで、総会への出席を強制されたことは「不快」だったとして、「会長と同じ立場であるかのような印象を与える」ために「テクニカルスタッフの女性たち数人が最前列に座らされた」と告発した。

 一方、ルビアレス氏を批判したビルダ監督も批判にさらされている。今回のワールドカップ前、チーム・スペインでは15名の女子選手がサッカー連盟に監督の退任を要求するメールを送付。The Athleticによると、選手たちは毎晩、マネジメントに室内をチェックしてもらうまでホテルの部屋の鍵を閉めてはいけないなどの対応をされていたという。この件で、スペインサッカー連盟はビルダ監督を支持。ただ、選手とビルダ監督の関係は良好ではないと噂されており、W杯では監督が選手の輪に入れないでいる姿がたびたび目撃され、スペイン国内のSNSではネタにまでされていた。また、W杯中には、ビルダ監督が女性スタッフの胸を触る動画がSNSで拡散されて物議を醸していた。

 スペイン国内ではこの件が「SEA CABO(意味:もう終わり)」というハッシュタグと共に大きなうねりとなっており、これをきっかけに、スペインサッカー連盟における女性蔑視の一掃を求める声が多い。それに連帯する動きは国外でも出ており、イングランド女子は「自分は無敵だと思い込んでいる人たちの行動は許されるべきではありません」と声明を発表。ナショナル・ウィメンズ・サッカーリーグのチームのオーナーである俳優のナタリー・ポートマンは、「SEA CABO」というハッシュタグとともに、「私はジェニファー・エルモソの味方です」と、インスタグラムのストーリーズで宣言した。

 また、他国のチームからの支持も増えており、日本時間8月27日にはフィンランドの女子チームも声明を発表。「我々フィンランド代表チームは、ジェニファー・エルモソ選手とスペイン代表の選手たちを支持するととも彼女たちと連帯して立ち上がります。サッカーは全員にとって安心できる場所であるべきです。どのような形であれ、虐待やハラスメントは強く批判され根絶されるべきです」と連帯した。

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