SNSで人気の「What I Eat In A Day(一日に食べるもの)」動画には、栄養の専門家たちが警鐘を鳴らすネガティブな側面もあるという。専門家が指摘する、その問題点とは?(フロントロウ編集部)

「What I Eat In A Day」コンテンツが与える負の影響

 海外のSNSで高い人気を誇るのが、「What I Eat In A Day」というコンテンツ。日本語で“1日に食べるもの”を意味するその名の通り「What I Eat In A Day」はインフルエンサーやセレブが、起きてから寝るまでの1日で食べたものを紹介するというもの。

画像1: 「What I Eat In A Day」コンテンツが与える負の影響

 「What I Eat In A Day」のようなコンテンツは古くから人々の関心が高く、遡ると1950年代にはマリリン・モンローが1日に食べたものを答えたインタビューが大注目。その後2000年代初頭にブログが普及すると、ブロガーが自分の食事やおやつをシェアするように。そして2010年代以降はYouTube、Instagram、TikTokとプラットフォームを変え、そのトレンドは加速している。

 動画では数百万回の再生回数を記録するものも多く、ブランドと提携して製品を宣伝するためにこういった動画形式が取られることも多くなった。海外だけでなく、日本でもこのようなコンテンツはよく見かけられる。

画像2: 「What I Eat In A Day」コンテンツが与える負の影響

 そんな「What I Eat In A Day」動画は、投稿者のファンや食事を改善したい人など参考になると考える人がいる一方で、多くの専門家はネガティブな影響も多いと明かしている。

人によって適切な食事量は異なる

 栄養士をはじめ多くの専門家がこのようなコンテンツに警鐘を鳴らしているのは、人によって必要かつ適切な食事量は異なるから。

画像1: 人によって適切な食事量は異なる

 インテュイティブ・イーティング(直観的食事法)を専門とする食事カウンセラーのチェルシー・アメール氏は、「私たちの多くは、他の人が何を食べているのか気になってしまいますが、まず大前提としてその人と同じ食事を選択しても同じ体型になるとは限りません。もしお気に入りのインフルエンサーの食事プランに忠実に従ったとしても、同じ見た目になることはなく、ある人にとって効果があるように見えるものが、ほかの人にも効果があるとは限らないのです」と米Shapeで説明。
※流行のダイエットや食事制限、カロリー計算などを行わず、お腹が空いたら食べて、満腹なら食べないなど自分の直感に従って食事すること

 続けてアメール氏は、「このようなコンテンツは、この方法で食べれば誰でもその人に似ることができるのだと暗に示唆していますが、人それぞれ遺伝子や体質、代謝は異なり、必要な食事量やカロリーが全く違うのです」と断言。

画像2: 人によって適切な食事量は異なる

 レシピを参考にするなどは問題ないが、食事のテンプレートとして盲目的に従うのは危険だと指摘。またこのようなコンテンツを繰り返し目にすることで、特定のサイズだけが理想的であるという偏ったボディイメージが植え付けられてしまうことも考えられると補足した。

 もちろん投稿しているインフルエンサーやセレブの多くは、悪意を持ってこのような投稿をしているわけではない。むしろファンからの要望に応える形で投稿していることも多いのは事実。とはいえ「What I Eat In A Day」の動画をすべて鵜呑みにして真似するのではなく、自分に合った食事を選択することが大事だと明かした。

摂食障害の人への影響はより深刻

 多くの専門家が「What I Eat In A Day」動画に警鐘を鳴らす理由はもうひとつあり、摂食障害を患っている人にはより深刻な悪影響を及ぼしかねないから。

画像1: 摂食障害の人への影響はより深刻

 管理栄養士のディアナ・ウルフは、「摂食障害やオルトレキシアを患っている人には、無意識のうちにWhat I Eat In A Day動画を求め、そして過信してしまう人が多い傾向にあります」と説明。
※健康的な食事に極端に執着し、不健康なものを摂取することに過剰な不安や恐怖心を抱く摂食障害

 そして動画で紹介されている食事と自分の食事をくらべ、「私はこれよりもはるかに多く食べている」「これよりもはるかに悪い食事だ」「これよりも炭水化物が多い」「タンパク質が足りない」といった罪悪感を抱いてしまうことも多いと明かした。

画像2: 摂食障害の人への影響はより深刻

 こういった現状にはSNSのアルゴリズムを問題視する専門家も多く、メンタルヘルスを専門とする機能的統合栄養士のアレックス・デリア氏は、「一度このような動画を見ると、同じような投稿が次々とフィードに出てくるようになっています。これが人々の食べ物や身体との関係をより悪化させてしまうことがあるのです」と指摘した。

どんな風に向き合えばいい?

 日本のSNSでも見かけることが多い「What I Eat In A Day」のような投稿。このようなコンテンツにはどんな風に向き合えばいいのか、専門家のアドバイスは以下の通り。

・摂食行動が乱れやすい、ボディイメージに執着しやすい人はできるだけ投稿から離れる。フォロー解除やミュートもオススメ

・SNSで見せているものがすべてではないと理解する。

・人によって必要な食事は異なることを覚えておく。

・食事の改善をしたい場合、マネするのではなく栄養士や医師といった専門家にアドバイスを求める。

 SNSで人気の「What I Eat In A Day(一日に食べるもの)」動画が与えるネガティブな影響。目にした際は専門家のアドバイスを念頭に置いて見るようにして。

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