ライアン・マーフィーが黒人キャストで『アメホラ』を撮ろうと計画
ドラマ『glee/グリー』などで知られる大物プロデューサーのライアン・マーフィーが手掛けるドラマ『アメリカン・ホラー・ストーリー』。シーズンごとにストーリーやキャストが変わるアンソロジー形式である同シリーズのシーズン9と10に出演したアンジェリカ・ロスは、米時間9月18日にライアンとの2年間にわたるメールのやり取りのスクリーンショットをX(旧Twitter)で公開。ライアンに不誠実な対応をされたと主張している。
2020年7月3日、ライアンはアンジェリカ宛てのメールで、『アメリカン・ホラー・ストーリー』のシーズン11は黒人女性たちを主人公にしたシーズンにするつもりだと明かし、アンジェリカの他に誰が主演を務めるべきかアドバイスを求めた。
「黒人女性たちが主役のホラーシーズンについての君のアイディアを覚えているかな? 僕はこれをやるつもりだ。ストーリーはまだ決まっていないけど、秋には脚本の準備を始める予定。君(アンジェリカ)、キキ・パーマー、ギャビー…そして4人目は誰が良いと思う? まだ決めかねてるんだ」
自身のアイディアが採用されたこと、黒人女性たちが主演をはる人気ドラマシリーズという滅多にない機会に、アンジェリカは大喜び。自身が推薦する黒人女性俳優の名前を挙げて返信した。
アンジェリカが挙げた俳優には、デビ・モーガン、リン・ウィットフィールド、アルフレ・ウッダード、アンジェラ・バセット、 アミヤ・スコット、ガブリエル・ユニオン、ヴィオラ・デイヴィス、ルピタ・ニョンゴ、ケリー・ワシントン、ハル・ベリーの名前があった。
しかし、ライアンが既読スルーで音信不通に
このメールが送られた後、ライアンはメールを「既読」にしたまま2年ほど連絡が途絶えてしまったという。アンジェリカはなんとかライアンと連絡を取ろうと花を送ったりするも、全く返事がなかったため、2022年2月7日に最後のメールを送った。
「おはよう! 起きたあと掃除をしながら、シーズン11は何にフォーカスするのが良いだろうと考えていた。そして、もしシーズン11が実現した際には、プロデュース側でも参加できないかと考えていたの。もしまだ黒人を主演にしたものを検討しているのであれば、ストーリー全体について様々な案を出すことが出来ると思っている」
マーベルを保留にしていたアンジェリカ、ライアンの不誠実な対応に怒り
アンジェリカによると、彼女が問題にしているのは、ライアンがドラマの新シーズンについて考えを変えたことではないそう。アンジェリカ自身、業界では「ものごとはよく変わる」と認めている。
彼女が問題にしているのは、ライアンの不誠実な態度。アンジェリカはマーベルからMCUの新作への出演について何度かコンタクトがあったが、契約上、『アメリカン・ホラー・ストーリー』の新シーズンへの出演の可能性があったため、マーベル作品への出演交渉を保留にしていたという。
「私は何ヵ月も(『アメホラ』の)営業担当者に電話して、彼らが私の契約オプションを採用するのか、もしくは私はマーベル作品に対応できると伝えても良いのかどうかを確認しようとしました。私はマーベル作品に出演するために3年間もオーディションに挑み続けていたんです。でもその間、私はずっとファースト・ポジションに拘束され続けていた」
ハリウッドでは俳優が同じ期間に複数の作品でブッキングされていることは珍しくなく、もしも撮影スケジュールがかぶってしまう場合は、ファースト・ポジションと呼ばれる第一作品の製作を優先するルールになっている。もしもファースト・ポジションの作品が“当分撮影はないから別作品やっていていいよ”と言えば、第二優先作品の製作を進めて良いことになる。アンジェリカは契約上、『アメホラ』がファースト・ポジションだったため、マーベル側の製作にはイエスとは言えない。このような状況を訴えているのに、スルーし続ける製作側の態度に不満を爆発させている。
ちなみに、アンジェリカがMCUに参加するのではないかという噂が流れていた2020年2月3日、アンジェリカは「残念ながら、現時点では私が新しいマーベルスタジオとディズニープラスに参加するという噂を、肯定も否定もできません」という投稿をしていた。
『アメホラ』でのトランスフォビア発言も暴露、エマ・ロバーツが謝罪
アンジェリカはさらに、トランスジェンダー女性として、黒人女性として、『アメリカン・ホラー・ストーリー』の撮影現場で差別を受け、それを訴えたときの対応が不適切だったとも告発。
「共演者が私に面と向かってトランスフォビアな発言をしたことや、私が撮影現場で受けた人種差別に対する不満を訴え出たときに『言論の自由』だと言われたという事実もみなさんにお伝えします」
アンジェリカが翌20日のインスタグラムのライブ配信で明かしたところによると、トランスフォビア発言をしたというのは、2019年のシーズン9『アメリカン・ホラー・ストーリー:1984』で共演したエマ・ロバーツ。アンジェリカとエマがセットで一緒にいたとき、別の人物が「レディース、もういいから撮影を再開するよ」と言ったのに対し、エマが意味ありげな顔で「レディース(複数系)ではなく、レディーでしょ」と言ったのだという。
トランスジェンダー女性である自分は女性ではないとするかのような発言に「はらわたが煮えくり返った」というアンジェリカだが、「そこで何か言ったら私が問題を起こしているように扱われると思いました。別のときに、彼女(エマ)の行動に声をあげた人が罰せられたことがありますから」と告白。結果的にそのときは何も言わなかったそうだが、代わりに、「あの瞬間からすべての撮影が終わるまで、私はあのビッチとはひと言も交わしませんでした」と明かした。
アンジェリカのこの投稿後、エマがアンジェリカに直電話。自身の行動を謝ったそうで、アンジェリカはXにてそれを報告。「エマ・ロバーツ、私に電話して謝ってくれて、自分の態度がアライとして正しくなかったことを認めてくれてありがとう」と感謝して、「もっと良くなりたい、自分のプラットフォームを使って社会正義をサポートしたいというあなたの願いを見守るために、今後も交流できる状態にしておきます」と続けた。
アンジェリカは、まだまだ暴露したい事があると示唆
現在ハリウッドでは、過酷な労働条件下で働く人材の地位向上を訴える米脚本家組合(WGA)と米俳優組合(SAG-AFTRA)のストライキによって大半の作品の製作がストップしている。
アンジェリカは、「ストライキ中だから、私には時間ならあるって知ってるでしょ」と投稿しており、「すべてを暴露します。でも、このように暴露することの大変さをあなたたちは知らない。私のペースで発言させてください。みなさんが求める以上のことを語ると約束します」と、さらに告発が続くことを示唆している。
また、自身の告発を信じない人たちには、「皆さんはすでに(判断するために)必要な情報をすべて持っています。私の言うことを信じたくないだけです。私はあなたたちに食べるもの(情報)を与えているのだから、時間をかけてそしゃくしてください」と投稿した。