にんじんを食べて“小麦肌”を演出?
サラダ、スープ、お菓子、パンなどさまざまな料理に大活躍な野菜「にんじん」。β-カロテンやカリウム、食物繊維などが豊富に含まれており、免疫力アップや生活習慣病予防、エイジング予防にも効果が期待できる。
そんなにんじんを食べることで、健康的な“小麦肌”を演出するというライフハックが海外のTikTokで流行中。このライフハックを紹介したTikTokユーザーのイザベル・ルクスは、「1日に大きめのにんじんを3本食べるだけで、本来の肌の色を変えることができるんです」と説明。
過去の自分の写真を例に出しながら、「これが本来のわたしの肌の色ですが、(にんじんを食べ続けたことで)いまはこんな感じの日焼け風の肌になっています」と話し、小麦肌をキープするために、ここ数年の間、1日3本のにんじんを食べる習慣を続けていると明かした。
にんじんを食べるだけで本当に肌の色が変わるの?
では、にんじんを食べ続けるだけで本当に肌の色が変わるのだろうか。皮膚科専門医のアッザ・ハリム医師によると、答えはイエス。ハリム医師は、「にんじんにはβカロテンが豊富に含まれており、特定の摂取量を超えると肌の色に影響を与える可能性があります」と米Popsugarで指摘。
実際に、ビタミンAの前駆体であるカロテンを過剰摂取することで、皮膚にカロテンの色素が沈着してオレンジ色っぽくなる「柑皮症(かんぴしょう)」という症状があるそうで、臨床栄養学者のジェシカ・セペルは、「これはにんじん、かぼちゃ、さつまいも、バターナッツなどのオレンジ色の野菜をたくさん食べている人に起こることがあります」とのこと。
肌の色が変化するメカニズムについて、美容整形外科医のジェニファー・レヴィン医師は、「βカロテンは色素(リポクローム)の一種なので、血液中のβカロテン濃度が高くなると、皮膚の角質層に付着してオレンジ色に見えることがあります」と説明。
ただし、すべての体の部位に等しく影響するわけではないそうで、「色の変化は通常、手や足の裏、または膝や肘のように、皮膚が厚い場所で発生しやすいとされています」と話し、「黄疸のように目が黄色くなることはありません。また、もとの肌の色が白いほど目立ちやすい傾向にあります」と明かした。
どのくらい食べれば肌の色が変わるの?
ハリム医師とレヴィン医師によると、肌の色の違いを確認するには、毎日「20~50mg」のβカロテンを摂取する必要があるとのこと。
TikTokerのイザベルが摂取していた“大きめのにんじん3本分”には、大体20~24mgのβカロテンが含まれているため、イザベルのように「肌の色が変わった!」と実感するには、少なくとも数週間は、1日に3本~10本のにんじんを食べる続けなければならない計算になるという。
健康への影響は?
とはいえ、こんなに大量のにんじんを摂取して体に悪影響はないのだろうか。
ハリム医師は、「このような高用量は、ビタミンA毒性を引き起こす可能性があります」と忠告。「全ての食品やビタミンには、(摂取量が)中程度の範囲内だからこそ効果があり、大量に摂取すると様々な副作用を引き起こす可能性があります」とのこと。
レヴィン医師も同意見のようで、「何事も“ほどほど”が重要。1種類だけ食べたり、食べ過ぎたりするのではなく、多種多様な野菜や色を摂取することが大切です」と述べ、一時の流行に左右されず、バランスのとれた栄養価の高い食事に集中したほうが良いとアドバイス。
ちなみに、にんじんの過剰摂取で肌の色が変わってしまった場合は、「にんじんを食べる量を減らすか、食べること自体をやめれば、徐々に肌の色は戻ります」とハリム医師は話している。
にんじんを食べることで肌の色を変える海外のとんでもライフハック。過剰摂取による体への悪影響を考えると、おとなしくセルフタンニングしたほうがコスパは良いかも。