オリヴィア・ロドリゴに続いて、第65回グラミー賞で主要部門の最優秀新人賞を受賞し、同賞を12年ぶりにジャズ界にもたらしたサマラ・ジョイにインタビュー。『ハイスクール・ミュージカル』が大好きなディズニー・チャンネルっ子だったという幼少期のエピソードから、サマラらしいジャズ論、そして、日本で衝撃を受けたというチップスとの出会いまで、世界で最も注目すべき新人の1人であるサマラの素顔やアーティスト性が見える12のポイントにまとめた。(フロントロウ編集部)

サマラ・ジョイにインタビュー

1. 「家族の奏でる音」を愛する、ミュージシャン一家に生まれたシンガー

 現在24歳のシンガーであるサマラ・ジョイは、1999年11月1日に米・ニューヨーク州ブロンクスで生まれた。祖父母は有名ゴスペルグループであるザ・サヴェッツ(The Savettes)のメンバーで、父親もゴスペルシンガーという音楽一家に育ったサマラは、今もミュージシャンとして活動している家族こそ、「私の最大のインスピレーション源」だとフロントロウ編集部に話す。

画像: ©️Meredith Truax
©️Meredith Truax

 「家族が奏でる音が、私の一番大好きな音です」とサマラ。「歌うときの、あの機敏さが大好き! 頭に思い浮かぶことを歌で表現できるところもそうですし、サウンドやトーンに宿る温かみや、誠実さ、それからオーセンティシティ(本物らしさ)も。とにかく彼らの歌が大好きなんです」


2. 高校の先生にジャズを教わって才能が開花

 音楽一家に育ったサマラだが、彼女にジャズの魅力を教えてくれたのは高校時代の先生。「高校の先生からジャズを教えてもらったとき」が、自分のキャリアの最初のターニングポイントだったとサマラは話す。その後、ニューヨーク州立大学に進学したサマラは声楽を専攻して、本格的にシンガーへの道を志した。

画像: 2. 高校の先生にジャズを教わって才能が開花

 今ではジャズの世界で最も将来を期待されている若手シンガーの1人となったサマラだが、そもそも、彼女をここまで惹きつけたジャズの魅力とは何だったのだろうか? 「ミュージシャンたちの即興の演奏や、ジャズ特有の作曲スタイルに魅了されたのはもちろんですが、私が最も魅了されたのは、その歌唱スタイルです」

 サマラはこう続ける。「サラ・ヴォーンやベティ・カーターといったシンガーたちの歌唱スタイルに特に魅了されたのですが、それぞれが個性的でありながら、そのどれもが美しくて、オーセンティックでエレガントだったということ。それでいて力強いという部分に感銘を受けました」


3. 『ハイスクール・ミュージカル』の曲は全曲暗記していたディズニー・チャンネルっ子

 幼少期に影響を受けたアーティストを訊ねると、「ルーサー・ヴァンドロスやスティーヴィー・ワンダー、レイラ・ハサウェイ、ジル・スコット」と名前を挙げてくれたサマラだが、幼少期の彼女にとっての音楽面でのインスピレーション源は他にも。それは、『チーター・ガールズ』や『ハイスクール・ミュージカル』といった、ディズニー・チャンネルの番組たち。

 「子どもの頃はディズニー・チャンネルをよく観ていましたよ。『チーター・ガールズ』とか『ハイスクール・ミュージカル』とか。もちろん曲もよく聴いていましたし。今ではさすがに完全には暗記していませんけど、10代の時は間違いなく、ほぼ全曲歌えていたくらいです!」


4. TikTokの同世代ユーザーとジャズを繋ぐ架け橋になっている

 「ソーシャルメディアというのは、芸術性を求めたり、特定の見せ方をしたりという点で、人々がありのままの自分を見せる場所ではないという評判があると思います」。そう話すサマラだが、彼女はそうしたステレオタイプとは異なる形で、自身のソーシャルメディアを活用している。「グラミー2冠|ブロンクス育ち」という、シンプルながらも目を引くには十分すぎるアイコニックな自己紹介文を記載している自身のTikTokでサマラが見せているのは、ありのままの姿。

画像: 4. TikTokの同世代ユーザーとジャズを繋ぐ架け橋になっている

 そこに投稿する飾らない姿が共感を呼んだり、圧倒的な歌唱動画が評判を集めたりして、TikTokでも人気の存在となり、記事執筆時点では64万人以上のフォロワーを抱えている。

 サマラ本人としても、自身がTikTokを通して若いオーディエンスにジャズを広めていることに対する実感はあるといい、「TikTokにおいては、ありのままの姿を見せている人たちが最も人気を集めやすいんじゃないかと私は思っています。なので、私にとってTikTokというソーシャルメディアはスッピンを見せられたり、好きなように歌ったりできる場所なので、それで、みんなにも見てもらえたんじゃないかなって。なぜなら、それはリアルな姿だからです。私は何かのイメージを作ろうとしたわけではなく、ありのままに音楽を表現しているので」と分析する。

 「個人的には、同世代の人たちがそういう形でに夢中になれる場所があることを嬉しく思っています」と続けた。

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