イギリス出身のヤングブラッドと日本出身の(sic)boy。ヤングブラッドの単独来日公演で(sic)boyがサポート・アクトを務めるタイミングで、2人のアーティストによる貴重な対談が実現した。この日、ヤングブラッドはヴィジュアルを通した自己表現にも共通したものがある(sic)boyを「双子」のようだと語っていたが、2人の最も大きな共通点は、先代たちの音楽から受けた影響をジャンルレスに自分のスタイルに落とし込んだ上で、「ロックスター」としてステージに立っていることにこそある。昨年のサマーソニックで意気投合したという2人の対談から見えてきたのは、2人が体現する「ロックスター」の本質だった。(フロントロウ編集部)

まるで「双子」、2人のファッション遍歴とジャンルをめぐる葛藤

フロントロウ編集部:先代の音楽を更新するという話で言うと、ヤングブラッドさんは“ポップ・パンク・リバイバル”の文脈で紹介されることもあると思います。(sic)boyさんは、ヤングブラッドさんのそうした楽曲を多く手掛けてきたプロデューサーのザック・セルヴィニさんを、最新アルバム『HOLLOW』に収録した「Falling Down」で起用されていますよね。これはどのような経緯で実現したのですか?

(sic)boy:近年ポップパンクが盛り上がっているからというよりかはむしろ、僕が彼のサウンドのファンだったというのがありました。たまたまロスに制作しに行ったときに、光栄なことに「一緒に作ろう」という話になって。「Falling Down」はアルバムの中でも気に入っている曲の1つですね。

ヤングブラッド:ザック・セルヴィニは最高だよ。LAにいたときに(プロデューサーの)クリス・グリアッティがザックのことを紹介してくれて初めて会ったんだけど、それがきっかけとなって、一緒に(2019年にリリースしたEP)『the underrated youth』に取り組むことになったんだ。それから「11 Minutes」も一緒にやったんだけど、そのときにザックが紹介してくれたのが、(ブリンク182のドラマーでプロデューサーの)トラヴィス・バーカーだった。だから、トラヴィス・バーカーに俺を繋げてくれたのは彼だったんだよね。ザックは最も重要なミキサーだと俺は思っているよ。俺たちのジャンルにおける、今、最も重要なプロデューサーの1人でもあるしね。

ザックのことは本当に大好きだよ。すごく熱心に取り組んでくれてきたし、それは俺にとって一生モノだよ。最新シングルの「Happier」にもザックは参加しているんだけど、彼は最高だよね。

フロントロウ編集部:ところでお二人からは、ファッションやメイク、ネイルなどの雰囲気にも非常に近しいものを感じます。

ヤングブラッド:ああ、兄弟みたいだよね! まさに双子だよ。

画像6: Photo:©Sotaro Goto
Photo:©Sotaro Goto

フロントロウ編集部:今のスタイルを確立されるまでに、ファッションの面ではどんなスタイルやカルチャーから影響を受けてきましたか?

(sic)boy:たくさんあるんですけど、特にグランジのスタイルですかね。カート・コバーンが大好きで。みんなにとっての憧れであり、カリスマ的存在だと思うんですけど、飾っていないのにカッコいいという感じがすごく好きですね。あとは、これはどちらかというと衣装的な話になってしまうんですけど、マイ・ケミカル・ロマンスも大好きです。あの世界観も最高ですね。

ヤングブラッド:彼らは見事に世界観を創り上げたよね。『ザ・ブラック・パレード』のアルバムなんて天才的な作品だしさ。あれはクイーンの『オペラ座の夜』やデヴィッド・ボウイの『ジギー・スターダスト』と同じくらい重要な作品になったと思う。

俺が影響を受けてきたスタイルについては、(セックス・ピストルズのアートワークなどを手掛けた)ジェイミー・リードやヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)、セックス・ピストルズ、それから映画監督のティム・バートンからも影響を受けてきた。昔からティム・バートンの映画作品が大好きでね。あとはデヴィッド・ボウイやサイバーパンク、(ザ・プロディジーの今は亡き)キース・フリントからも影響を受けたし、ラフ・シモンズ(RAF SIMONS)やアレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)、フォトグラファーのチャールズ・ピーターソンからも影響を受けた。彼はグランジ初期の頃にあらゆる撮影を担当していた人で、ホールやサウンドガーデン、パール・ジャムといったバンドたちを撮影していたんだ。

そういった最高にクールな人たちから影響を受けたんだけど、最大のインスピレーション源は、1970年代のロンドンにあったシーンだね。あのときに「SEX」やヴィヴィアン・ウエストウッド、マルコム・マクラーレンの周辺で起きていたことだよ(※)。それから、ストーン・テンプル・パイロッツや(同バンドのフロントマンだった今は亡き)スコット・ウェイランドもそうだね。あれこそまさにロックンロールだよ。彼はクレイジーだったよね。
※ヴィヴィアン・ウエストウッドとマルコム・マクラーレンは1971年にロンドンに店舗をオープンし、1974年に店舗の名前を「SEX」に改称。その後、マルコムがサポートする形で、「SEX」の常連客や従業員によるバンド、セックス・ピストルズが結成された。

画像7: Photo:©Sotaro Goto
Photo:©Sotaro Goto

あと、『アリス・イン・ワンダーランド』のマッドハッターも好きだよ。架空のキャラクターも大好きなんだ。俺は自分がカリカチュア(戯画/風刺画)のように見えるのが好きでね。もし人々が俺の服装を絵で描けるのだとしたら、それは着る価値がある服ということなんだ。喋りすぎてしまったね、ごめんよ(笑)。

フロントロウ編集部:もっとお二人にお話を伺いたいところなのですが、そろそろお時間となってしまいます。最後に(sic)boyさんから、ヤングブラッドさんにこれだけは訊いておきたいという質問はありますか?

(sic)boy:そうですね。今日、対談のなかでキーワードになった言葉の一つがジャンルだったと思うんですけど、(楽曲単位で)特定のジャンルにカテゴライズされてしまうことについてはどう考えていますか?「これはロックだ、これはヒップホップだ」とか仕分けされることについて、僕は正直、あまり分けないでほしいと思うところがあって。そういうところは、どのように捉えているのか訊いてみたいです。

ヤングブラッド:君に同意するよ。ジャンルに括られることは「ふざけんな」って思う。ジャンルなんて大嫌いだ。ヤングブラッドとしての活動を始めた当初からそうだったんだけど、何が苦労するかって、俺はこの見た目のせいで、周囲からは1つのタイプの音楽を作ることを期待されるんだ。ものすごくフラストレーションが溜まるよ。俺はピンク・フロイドが大好きだけど、それと同じくらいナイン・インチ・ネイルズが大好きだし、同じくらいレディー・ガガも大好きだし、デヴィッド・ボウイもそうだ。ジャンルというのは、罠のようなものなんだよ。レコードショップのために作られたものなんだ。CDを特定の売り場にまとめられるようにね。でも、今は音楽があらゆるところに存在しているだろ? ジャンルなんかクソ食らえだよね!

画像8: Photo:©Sotaro Goto
Photo:©Sotaro Goto

音楽においてキーになるのは、「自由」と「進化」なんだ。例えばザ・クラッシュについても、「London Calling」を作った彼らだって、ダンサブルでポップな「Train in Vain (Stand by Me)」も作っているわけでさ。あのときはまだコンピューターが到来する前だったけど、望む通りの音楽に進化させられていたんだ。それってクールなことなんだよ。

(sic)boy:ありがとうございます。僕もまったく同じように思っています。それがすべてだと思うし、そういう姿勢がサウンドにも現れてくるんじゃないかなって。僕も結構、ジャンルに結びつけられて色々と言われてきて、それはしょうがないことなのかなって思っていたんですけど、そうやってカテゴライズしてくる人たちにもきちんと向き合い、闘っていったその先に、また見えてくるものがあるんじゃないかなって思えました。

ヤングブラッド:ああ、その通りだよ! 嬉しい質問だった。楽しい時間だったよ。ありがとう!

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Photo:©Sotaro Goto

<リリース情報>
ヤングブラッド
シングル「Happier(feat. オリ・サイクス of ブリング・ミー・ザ・ホライズン)」
配信中
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(sic)boy
メジャーファーストアルバム『HOLLOW』
発売中
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