アルバム『Brat』で2024年の夏を席巻したチャーリーXCXが、今年7月24日に7枚目のスタジオアルバム『Music, Fashion, Film』をリリースした。一部のリスナーが戸惑う可能性も受け入れた、大胆な音楽的転換だ。その意図を、チャーリー自身が各曲について語った言葉から読み解く。(フロントロウ編集部)
「ブラットを超えようとしないことが、私らしさ」
30分5秒・11曲。新作は、前作『Brat』(2024年)とは対照的な方向へ踏み出した作品となっている。米E!Onlineによると、「一度あの経験をすると、人は永遠にその路線のアーティストでいてほしいと思う。でも私はそういうアーティストには絶対にならない」とチャーリーは語っている。
インスピレーションが訪れたのは2025年末だった。本人いわく、当初は活動を休むつもりだったが、「インスピレーションが湧いたとき、それに飛びつかないのは考えが甘いと思う。インスピレーションを得られるのは幸運なことだから、逃したくない」と語っている。長年の共同制作者であるA・G・クックとフィン・キーンを中心に制作したアルバムは、ギターを前面に出した、荒々しくミニマルなサウンドで構成され、前作とは大きく異なる、冷たく無骨な作風として批評家から評価されている。
11曲それぞれの言葉
オープニング曲「Rock Music」は、歌詞の解釈をめぐって大きな議論を呼んだトラックだ。「ダンスフロアは死んだと思う。だから今はロック音楽を作っている」という歌詞が独り歩きしたが、チャーリーは「この曲は実際にはロック音楽ではない」と説明し、ロックアルバムを作ると発言したこともないと明言した。「ブラットからの自分の転換を歌ったもので、ダンスフロアが本当に死んだと思っているわけではない」と説明した。マドンナも「ダンスフロアが死んでいると感じるなら、かけている音楽が間違っているのかもしれない」と反応したが、チャーリーの意図は、ダンス音楽というジャンルの終焉ではなく、『Brat』を経た自身の変化を表すことにあった。
「SS26」はパリ・ファッションウィークを訪れていた時期に着想を得たトラックだ。「インターネット上では、あらゆる議論で正しい側に立ち、過去の行いを謝罪し続けなければならないという“ペルソナ”への圧力がある」。その息苦しさをランウェイに投影した歌だ。「Card Declined」は、消費主義を皮肉る派手で虚勢に満ちた視点から書かれており、「誰もが何らかの形でパフォーマンスをしている」という思想が根底にある。
「Camera」は女優業を始めたチャーリーの心境を描く。「衝動的な状態。怖いけど本能を解き放ってくれる。恥をかくかもしれないけど、何か強烈なものができるかもしれない」。「2007」は、スマートフォンやSNSによって誰もが短時間だけ注目を浴びられる時代について考察した曲だ。「Wink Wink」は、周囲から押しつけられる女性像やイメージを皮肉った曲だ。クロージング曲「No One Lasts Forever featuring David Cronenberg」では、カナダの映画監督デヴィッド・クローネンバーグが語りを担当している。アーティストや作品の寿命、名声のはかなさについて考察する内容でアルバムを締めくくる——チャーリーはこの曲について「すべてが有限だからこそ、自分に正直であるしかない」と語っている。
アルバムはまだ「過程の途中」
ジョージ・ダニエルは「Rock Music」のミュージックビデオにカメオ出演し、ドラムを演奏した。ミュージックビデオには、テレビを窓から投げ捨てる場面や、ギターを壊す姿、モッシュピットなど、ロック文化を思わせる演出が盛り込まれている。
「このアルバムの粗削りなサウンドは、制作時の瞬間的な思考を反映している。何かを作ることは私をとても幸せにしてくれる一方で、拷問のように感じることもある」と語っている。
















