マックルモアがパレスチナ支持を表明したことをきっかけに、エド・シーランのツアーから外された一件。その後、米国スタジアムツアーに参加予定だったすべてのオープニングアクトとバックバンドが離脱し、ツアーと無関係のアーティストからもエドの対応を批判する声が上がった。騒動後初となるコンサートで、エド本人が一連の出来事について口を開いた。(フロントロウ編集部)
マックルモアの発言を受けて会場側が出演を拒否
米国時間9月4日、マックルモアは米ニュージャージー州イーストラザフォードにあるメットライフ・スタジアムで、エド・シーランの「Loop Tour」のオープニングアクトとして出演。そのステージで、ガザとヨルダン川西岸の人々に向けて「私たちはあなたたちを忘れていない」と語り、「フリー・パレスチナ」と訴えた。
その後、複数の会場が、マックルモアが出演する場合はコンサートを開催させない意向をツアー主催者に伝えたとされる。米国公演を主催するMessina Touring Groupは、会場側からツアーの中止につながりかねない通告を受け、関係者と協議した結果、マックルモアが残りの公演に出演しないことになったと説明した。
マックルモアによると、エドとは13年来の友人で、決定をめぐって何度も電話で話したという。会場側から圧力を受けたエドについて「非常に難しい立場に置かれていた」と理解を示す一方、最終的にはエドとそのチームが自身をツアーから外すことを決めたと説明した。また、「これがエドとの関係の終わりにならないことを願っている。13年間の友情は、一度のつらい意見の相違で消えるものではない」と、友情を続けたい意向も示した。
全オープニングアクトとバックバンドがツアーを離脱
マックルモアが外された後、エドの米国スタジアムツアーに参加予定だったすべてのオープニングアクトとバックバンドが離脱した。
ツアーを降りたオープニングアクトは、ビリー・アイリッシュの兄で、プロデューサーやソロアーティストとしても活躍するフィニアス、デンマークのバンドであるルーカス・グラハム、アイルランド出身のシンガーソングライターであるアーロン・ロウの3組。さらに、2017年に「Galway Girl」や「Nancy Mulligan」でエドと共演し、今回のツアーではバックバンドとして参加していたアイルランドのバンド『Beoga』もバックバンドから離脱した。
マックルモアをめぐる騒動はツアーの体制そのものを揺るがす事態となった。
ロバート・クラフトがエドから寄付を求められたと明かす
今回の決定に影響を与えた人物として名前が挙がったのが、NFLニューイングランド・ペイトリオッツのオーナーで、同チームの本拠地ギレット・スタジアムを所有するロバート・クラフト。エドは米国時間9月25日と26日に同スタジアムで公演を行なう予定となっている。
ロバートは米国時間9月14日にNBC Newsへ提供した声明で、マックルモアがニュージャージー公演で示した内容や過去の言動について、ユダヤ人コミュニティにとって「非常に侮辱的で、傷つけるものだった」と主張し、ギレット・スタジアムへの出演を認めなかった理由を説明した。
一方、マックルモアはツアー参加によって得る予定だった純収益100万ドル(約1億5,000万円)をパレスチナ支援団体に寄付すると表明し、ロバートにも同額を寄付するよう呼びかけた。
これに対してロバートは、マックルモアから寄付を呼びかけられる前にエドから電話を受けていたと説明。エドが現地の人道危機への支援として200万ドル(約3億円)を寄付し、ロバートにも同額を拠出するよう求めたことを明かした。ロバートもこれに応じ、パレスチナ支援のために200万ドルを寄付した。
ツアーと無関係のアーティストも反応
ツアーに参加していないアーティストからも、今回の対応に対する意見が上がった。ボストンを拠点に活動するパンクバンド、ドロップキック・マーフィーズのケン・ケイシーは、米Rolling Stoneの取材で、理由が何であれ、エドが圧力に屈してツアー仲間に寄り添わなかったことには納得できないと批判。「ツアー仲間というのは家族のようなものだ。あのような扱いをされては不安が残る。ドロップキック・マーフィーズなら、そんな対応はしない」と語った。
また、ピンク・フロイドの元メンバーで、長年パレスチナ支持を公言してきたロジャー・ウォーターズも、エドに向けた一言を公開。騒動は、ツアーに直接関係していないアーティストも相次いで意見を表明するほど大きな話題となった。
エド・シーランがステージで謝罪
そうしたなか、エドは米国時間9月19日、騒動後初となるコンサートを米ペンシルベニア州フィラデルフィアで開催。ステージ上で今回の一件に言及し、「難しい決断をしなければならず、間違いも犯している。本当に申し訳ない」と時には涙を流しながら観客に説明した。
さらに、2023年10月7日にハマスが行った攻撃を「恐ろしいものだった」としたうえで、その後のイスラエルによるガザでの軍事行動について「壊滅的で、正当化できず、不釣り合いなものだ」と発言。ヨルダン川西岸で続く「組織的な不公正」についても批判した。
エドは、コンサート会場が出演者の発言内容を理由に公演を拒否することにも「深く懸念している」と語り、「これは世界のさまざまな場所で起きているが、自由な世界では決して起きるべきではない」と訴えた。
この発言に、会場に集まったファンからは大きな歓声が上がった。すべてのオープニングアクトとバックバンドが離脱したなかでステージに立ったエドは、ツアーを中止すれば「愛が勝たなかったことになる」と語り、公演を続ける意思を示した。


















