リリー・ジェームズが東京のダークサイドへ。三池崇史の新作、世界初上映はトロント


『シンデレラ』のリリー・ジェームズと小栗旬が並ぶ映画『バッド・ルーテナント:トウキョウ』が、第51回トロント国際映画祭でワールドプレミア上映されることが決まった。あわせて特報映像と場面写真3点が初解禁。北米配給は『パラサイト 半地下の家族』のNEONだ。(フロントロウ編集部)
世界で最初にこの東京を見るのは、トロントの客席
三池崇史監督の新作『バッド・ルーテナント:トウキョウ』が、第51回トロント国際映画祭のスペシャル・プレゼンテーション部門に正式出品されることが決まった。しかも、世界のどこよりも早い“ワールドプレミア”としての上映になる。日本での全国公開は2026年。配給元のソニー・ピクチャーズ エンタテインメントによると、北米の配給はNEONが手掛け、公式サイトでも同じ座組みが記されている。
毎年アカデミー賞レースの行方を占う場として語られるトロントで、まだ誰も観ていない東京が最初に披露される。三池監督は「日本のバッド・ルーテナント小栗旬と共にTOKYOを楽しんで頂ければ幸いです」とコメントを寄せた。
プロデューサーを務めるのは、『ラストエンペラー』『戦場のメリークリスマス』を手掛け、ベルリン国際映画祭と東京国際映画祭で審査員長も務めたジェレミー・トーマス。三池監督とは4度目のタッグになる。「これは三池監督にとって、そして監督の作品を愛するすべての人々にとって、大いに喜ぶべきことです」というのが、今回のコメントだ。
「日米友好のためだけの」という台詞が引っかかる
同時に解禁された特報は、終始不穏な空気のなかを進んでいく。小栗旬が演じる主人公・矢吹が口にするのは「ただのパートナーだ。日米友好のためだけの」という一言。対して、リリー・ジェームズ演じるグエンは「人生を賭けている」とつぶやく。ふたりが並んでいる理由も、その関係の温度も、まだ明かされない。
激しいアクションと豪華なキャスト陣がスタイリッシュに交錯し、最後は矢吹の絞り出すような叫びで断ち切られる。何が起きているのかを説明しないまま、危険な匂いだけを渡してくる映像だ。
初解禁となった場面写真では、血痕が飛び散った異様な現場で険しい表情を浮かべる矢吹の姿と、アンニュイな眼差しを見せるグエンの姿が切り取られている。小栗旬が演じるのは「史上最悪の汚職刑事」。三池監督とは『クローズZERO』以来の顔合わせとなり、これまでのイメージを壊しにかかる役柄となる。

『パラサイト』『ANORA』のスタジオが、東京に乗り込んだ
この企画を世界側から支えているのが、北米配給を担うNEONだ。『パラサイト 半地下の家族』と『ANORA アノーラ』をアカデミー賞作品賞に押し上げたハリウッドの新興スタジオが、日本を舞台にした作品に乗り出したことになる。三池監督のバイオレンスな作家性と、ジェレミー・トーマスが持つ国際的な視点をそのまま海外へ運ぶ布陣といっていい。
共演にはリリー・ジェームズのほか、間宮祥太朗、野村周平、西野七瀬、向里祐香、岩田剛典、渡邊圭祐、中野英雄、村上淳、國村隼、そして特別出演の舘ひろしが名を連ねる。さらにアメリカの女子プロレス界のトップスター、リヴ・モーガンも参戦。脚本は天願大介、撮影は2025年5月上旬から6月中旬にかけて行なわれた。
ちなみにタイトルにある「ルーテナント(Lieutenant)」は、警察や軍隊の「警部補」「中尉」にあたる階級を指す言葉。つまり邦題は、そのまま「東京の最悪な警部補」という宣言でもある。トロントの観客が最初にどんな反応を返すのか、公開までの続報を待ちたい。

10月13日、公開10日前に“ヤバい奴ら”のキャラクター映像が解禁
10月23日の日本公開を前に、主要人物を一人ずつ紹介するキャラクター映像が公開された。酒やドラッグ、賭博、暴力に溺れ、多額の借金まで抱える小栗旬演じる矢吹は「俺はまだ終わっちゃいねぇよ」と一発逆転を狙い、歌舞伎町で起きた連続猟奇殺人事件を追う。次期アメリカ大統領候補の娘の行方を追って来日し、なぜか矢吹を相棒に指名するのが、リリー・ジェームズ演じるFBI捜査官のグエンだ。
事件の容疑者として浮かび上がるのは、児童養護施設で育った過去を持つ間宮祥太朗演じる石塚。WWEのスーパースター、リヴ・モーガンは「スシの研究」を名目に来日して姿を消す大統領候補の娘ミーガンを演じる。ほかにも、長髪姿の野村周平が演じる売人の影山、西野七瀬演じる児童養護施設の園長・上之園、向里祐香演じる矢吹のなじみの女性・亜矢子と、善悪の見分けがつかないクセ者たちが次々に登場する。

10月17日、公開を前に小栗旬やリリー・ジェームズらの特別インタビュー映像が公開
10月23日の日本公開を目前に控え、キャストと監督が撮影を振り返る特別インタビュー映像が公開された。登場するのは小栗旬、リリー・ジェームズ、間宮祥太朗、リヴ・モーガン、そして三池崇史監督。新宿・歌舞伎町で起きる事件を軸に、それぞれが自分の役とどう向き合ったのかを明かしている。

賭博とドラッグに溺れる刑事・矢吹を演じた小栗は「矢吹は喜怒哀楽を表に出して表現する人物。最近は感情を内に秘める役が多かったので、感情を外へ出せるのが演じていて楽しかった」と回想。「この数日間、矢吹として生き切った感覚がある」と、役を出し切った手応えも口にした。矢吹と組むFBI捜査官グエンを演じたリリー・ジェームズは、出演を決めた理由を「自分自身とかけ離れた役を演じる機会が滅多にないからです」と説明し、撮影を「まるで贈り物をもらったような冒険でした」と表現している。


連続殺人事件の容疑者・石塚を演じた間宮は、完成した作品を「非常に刺激的でありながら、どこか哀愁や情愛が漂い、後からじわじわ心に染みてくる独特の感覚になった」と評した。行方不明になる次期アメリカ大統領の娘を演じたWWEのリヴ・モーガンは「誰も信じられないことを私がしている」と、リングの上のイメージとは違う一面を予告している。


三池監督は「世界中の観客に届けることを意識し、自分たちが思い描く歌舞伎町のイメージを表現した」と語り、「とんでもない物語だからこそ、どこかにリアルな感覚を宿したかった」とも。そのため室内のシーンも、大久保や歌舞伎町に実在する場所を使って撮影したという。作品はアメリカやイギリスを含む世界17の国と地域での公開も決まっており、日本はその先陣を切ることになる。

公開直前、小栗旬演じる矢吹の本編映像が公開
10月23日の公開を前に、小栗旬が演じる汚職刑事・矢吹恭二の登場シーンを切り取った本編映像が公開された。東京で起きた殺人事件の現場に、裏社会に通じた矢吹が若手刑事(醍醐虎汰朗)に呼び出される場面だ。凄惨な現場を前にしても矢吹は平然とした態度を崩さず、刑事とは思えない振る舞いまで見せる。
矢吹は新宿・歌舞伎町で酒やドラッグに溺れ、借金に追われながら暴力も辞さずに裏社会を渡り歩く男。小栗はこの役について、「とても人間らしいというか、動物的に生きているところが魅力的だと思っていて、そこはすごく惹かれた部分ですね」と語り、「三池監督がこの役に自分を選んでくれたのが何よりありがたいですし、お話を聞いて即決しました」と出演の経緯も明かしている。

約10年ぶりに小栗と組んだ三池崇史監督は、役づくりをあえて細かく詰めなかったという。「話し合ってしまうと、2人の間での分かりやすさ、共通の妥協点が生まれて、どんどん見たことのあるキャラクターになってしまう」というのがその理由。矢吹という男については「でもそれってかっこいいよねと思う」とも話している。
10月23日、公開日にクラブの乱闘シーンの特別映像が解禁
10月23日の公開にあわせて、小栗旬とリリー・ジェームズが三池流アクションの撮影の裏側を語るインタビューと、メイキング映像をまとめた特別映像が公開された。取り上げられているのは、矢吹とFBI捜査官のグエンが聞き込みに訪れたクラブで、激しい乱闘になだれ込むシーン。ふたりが胸の奥に抱えてきたものを爆発させる、作品の見せ場のひとつだ。
全編を通してアナログな手触りにこだわった三池崇史監督は、アクションについても「アクションやカースタントを追求するというより“暴れざるを得ない”というイメージ。矢吹もヤクザたちも初動勝負で、持久力がある人たちではないので華麗な動きはしない。それよりも“痛そうだな”というアクションが作れればいい」と語っている。

小栗は「矢吹は警察官として多少の訓練は受けているとしても、あのシーンはどちらかというと“喧嘩”という感じ」と振り返り、旧知のアクションチームだったため「めちゃくちゃやりやすかったです」とコメント。リリーについては「慣れない環境の中、吸収していくスピードも速くて、楽しんで撮影に参加してくれていた」とたたえた。

リリーは「このファイトシーンはきれいに決まる格闘というより、酔っ払い同士の乱闘みたいにぐちゃぐちゃで予測不能な感じで、とても生々しく本能的な戦いとして表現できました」と話し、勢い余って相手の顔を本当に殴って倒してしまったという裏話も告白。その瞬間も特別映像に収められている。リリーは「日本での撮影は、私にはとても大きな意味がありました。また日本に戻ってもっと撮影したいです」とも語っている。
10月30日、リリー・ジェームズとリヴ・モーガンのメイキング映像が公開
10月23日の公開から1週間後の10月30日、リリー・ジェームズと、WWEの女子王者に輝いたリヴ・モーガンの撮影の舞台裏を収めたメイキング映像が公開された。舞台は新宿・歌舞伎町。FBI捜査官グエンを演じたリリーは、小栗旬が見守るなかで「なるほど…」という日本語のセリフのイントネーションを1つずつ確かめている。撮影の合間には日本の伝統料理のどぜう鍋に初めて挑み、箸でどじょうを口に運んで、カメラに笑顔で親指を立ててみせた。

「スシの研究」のために来日し、突然行方がわからなくなる女性ミーガンを演じたリヴは、回転寿司店で寿司を頬張る素顔を見せた。映像の最後はクランクアップの場面で、2人は花束を受け取り、三池崇史監督や小栗と抱き合って涙を流している。




















