お茶の飲み方で心臓病リスクに差?48万人超の研究で判明


お茶を毎日飲む人は、心臓や血管の病気になりにくい。そんな結果が約48万5,000人を追跡した大規模調査で示された一方、同じお茶でも“ある飲み方”をしている人では、リスクが逆に高まっていたことがわかり、海外で話題になっている。(フロントロウ編集部)
9年間の追跡調査で見えた「お茶を飲む人」の傾向
研究をまとめたのは、中国医学科学院・北京協和医学院のチーム。科学ニュースサイトのSci.Newsなどによると、中国在住の30~79歳の48万5,934人を平均約9年間にわたって追跡し、その間に心臓病や脳卒中、肺性心、末梢動脈疾患などの心血管疾患を発症した1万4,863人のデータを分析した。研究結果は現地時間10月21日、医学誌『Journal of Internal Medicine』に掲載された。
調査対象となったのは、お茶を飲む頻度や種類だけではない。お茶の濃さや飲む際の温度まで詳しく調べたことが、この研究の特徴だ。
その結果、習慣的にお茶を飲む人は、ほとんど飲まない人に比べて心血管疾患のリスクが約1割低いことがわかった。米New York Postによると、お茶を飲む量が増えるほどリスクは低下し、最も低かったのは1日6~8杯飲む人たちだった。ただし、米Nautilusは、それ以上飲むとリスクが再び高まり、1日20杯前後になると、お茶を飲まない人とほぼ変わらなくなったと伝えている。つまり、飲めば飲むほど健康によいというわけではないようだ。
落とし穴は「熱さ」だった

今回、特に注目を集めたのが、お茶の温度に関する結果だ。「やけどしそうなほど熱い」お茶を飲むと回答した人は、心血管疾患のリスクが16%高かった。以前から、熱すぎる飲み物は少し冷ましてから飲むことが推奨されており、今回の結果も、飲み物の温度に注意する必要性を示唆している。
お茶の濃さについては、薄すぎても濃すぎてもリスクの低下との関連が弱く、最も良好な結果が見られたのは中程度の濃さだった。また、習慣的にお茶を飲み、喫煙せず、日常的に体を動かしている人たちでは、心血管疾患のリスクが46%低かったという。
お茶の種類による違いも確認された。紅茶と緑茶はどちらも同じチャノキの葉から作られるが、緑茶は摘んだ葉を蒸したり炒ったりして酸化を抑えるのに対し、紅茶は茶葉を酸化させて作られる。研究では、紅茶のほうが心血管疾患のリスク低下と、より一貫した関連を示していた。New York Postは、砂糖やはちみつ、ミルクを加えることで、お茶の抗酸化作用が弱まる可能性を示した過去の動物実験についても紹介している。
急須で淹れた熱々の日本茶、どう考える?
気になるのは、日本でのお茶の飲み方との違いだ。食後に熱い緑茶を飲む習慣は、日本ではごく身近なもの。今回の結果を踏まえると、緑茶をやめて紅茶に切り替えるよりも、淹れたてのお茶を少し冷ましてから飲むほうが、日常生活に取り入れやすい工夫と言えそうだ。
ただし、専門家は今回の結果を慎重に受け止めるよう呼びかけている。Sci.Newsによると、研究に関わっていない英クイーン・メアリー大学ロンドンのチャラランポス・ラリス博士は、示されたリスクの低下は「相対的なもの」だと指摘。研究チーム自身も、1日6~8杯という量を推奨摂取量として受け取らないよう注意を促しているという。英国心臓財団の管理栄養士デル・スタンフォード氏も、「毎日お茶を飲むことが心臓を守ると証明されたわけではない」とコメントした。
また、Nautilusは、お茶を飲む量や温度が参加者の自己申告に基づいており、必ずしも正確とは限らない点を研究の限界として指摘している。研究チームは、お茶を飲むことだけで病気を予防できるわけではなく、健康的な生活習慣の一部として捉えるべきだと結論づけた。New York Postも、参加者が全員中国在住だったことから、お茶を飲む文化や習慣が異なる国にも同様の結果が当てはまるかどうかは、慎重に判断する必要があるとしている。
今回の研究は、お茶の飲み方と心血管疾患のリスクとの関連を示したものであり、お茶の温度や種類が病気の発症に直接影響することを証明したわけではない。飲み物と健康をめぐっては、コーヒーを飲んだあとの歯磨きのタイミングも話題になった。毎日のお茶を楽しむ際には、飲む量や種類だけでなく、温度にも少し気を配ってみるとよさそうだ。


















