エルヴィス・プレスリーの権利管理会社が、名曲274曲を無断でAIの学習に使用されたとして、AI企業を提訴したのは10月のこと。それから約2週間後の現地時間11月6日、今度はAI音楽生成サービス「Suno(スーノ)」を提訴した。楽曲の無断学習に加え、エルヴィスそっくりの歌声を誰でも生成できるようにしたという訴えだ。(フロントロウ編集部)
名前を入力するだけで「エルヴィスの声」に
原告は、エルヴィスの楽曲や名前、肖像などの権利を管理するエルヴィス・プレスリー・エンタープライズ。訴状では、歌詞に「エルヴィス」という名前を入力するだけで、先月の時点でも本人そっくりの歌声が生成されたと主張している。
証拠として、Sunoで生成されたとされる音源を収録した動画も提出された。原告側の弁護士リチャード・ブッシュ氏は「これはエルヴィス本人の歌ではありません。声と肖像を無許可で模倣した合成物です」と述べ、同様の音源が数百から数千件存在すると訴えた。
訴訟の根拠は、その名も「ELVIS法」
今回の訴訟の柱となるのは、テネシー州で2024年に成立した「ELVIS法」だ。エルヴィスの名前にちなんで名付けられたこの法律は、AIによる声や容姿の無断複製から個人を保護するもので、一定の条件下では、無断複製を可能にする技術やサービスを提供した企業の責任も問える点が特徴だ。
これに対し、Suno側は「私たちのサービスは、新しいオリジナル音楽の制作を支援するためのものであり、他人の名前や肖像を利用して利益を得るためのものではありません」と反論。特定の歌手名や楽曲名を指定した指示は受け付けていないと、米Billboardに説明した。
同じ日にエミネム側も提訴
同じ弁護団は同日、エミネムの楽曲の多くを管理する音楽出版社エイト・マイル・スタイルの代理人としてもSunoを提訴した。「ルーズ・ユアセルフ」などの楽曲が無断でAIの学習に使用されたと主張している。米Varietyによると、エミネム本人は原告に加わっていないという。
Sunoは大手レコード会社との訴訟も抱えるなか、新たに著名アーティストの権利をめぐる訴訟に直面することとなった。エルヴィス側の訴状には、次のような一文も記されている。「次のエルヴィスは、もうギターを手に取らない」




















