ディズニーの後継者のひとりがトランスジェンダーであるとカミングアウト。今問題になっている、LGBTQ+に差別的なフロリダ州の法案を批判した。(フロントロウ編集部)

チャーリー・コラ・ディズニーがカミングアウト

 ウォルト・ディズニー・カンパニーの創設者一族であるディズニー家は今月、LGBTQ+の権利団体Human Rights Campaignに最大50万ドル(約5,500万円)の寄付を発表。そのなかで、家族の1人であるチャーリー・コラ・ディズニーがトランスジェンダーであることを明かし、チャーリーがフロリダ州で問題になっている、通称ゲイと言ってはいけない法案に「心を痛めている」としたと、米Los Angeles Timesが報じた。

画像: チャーリー・コラ・ディズニーがカミングアウト

 教師として働くチャーリーは、弟のウォルト・ディズニーと共にウォルト・ディズニー・カンパニーを共同創設したロイ・O・ディズニーのひ孫。チャーリーはプライベートでは約4年前にカミングアウトしていたが、公にカミングアウトするのは今回が初めてだといい、同紙では自身の経験に重ねて法案を強く批判した。

性的指向の議論を禁止する法案を批判

 フロリダ州で4月に可決されたゲイと言ってはいけない法案(Don’t Say Gay Bill)は、小学校で性的指向や性自認について話すことを教師に禁ずる法案。子供たちにとって、自分と同じような存在が社会にいることを知るのは大事なこと。しかし、自分と同じ性的指向や性自認に日頃から触れて育つ異性愛者やシスジェンダーと比較して、LGBTQ+の子供たちはその機会が低い。だからこそ、子供たちが1日の半分を過ごす学校で社会における多様性についてオープンに語り、知り、相談することができるのは大事なことなのだが、この法案はその機会を子供たちから奪うことになる。

 トランスジェンダーであるチャーリーは自身の経験と重ね、米Los Angeles Timesでこの法案をこう批判した。

 「私にとって、ゲイであることを公表しているお手本はほとんどいませんでした。トランスやノンバイナリーに関しては一人もいませんでした。だから、自分に何か問題があるのではと感じていました。そんな状況にあるのに、そこにさらにこのような法律を押しつけるなんて。彼らは学校で自分たちのコミュニティや歴史について学ぶことも、スポーツをすることも、使いたいトイレを使うこともできないのでしょうか?(※)」

※アメリカの保守的な州では、多くの専門家の反対を押し切って、幼稚園時代からトランスジェンダーの女の子が女子チームのスポーツに参加することを禁ずる法案が次々と可決している。

画像: 性的指向の議論を禁止する法案を批判

 フロリダ州にパークのひとつがあるディズニー社は今回の法案に反対することが遅れたことで、社内外から大きな批判があがり、代表兼CEOのボブ・チャペック氏が謝罪した。(フロントロウ編集部)

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