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真っ暗な映像で吹替をしていた。平田広明が明かす『オデュッセイア』の現場

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真っ暗な映像で吹替をしていた。平田広明が明かす『オデュッセイア』の現場
© 2026 UNIVERSAL STUDIOS

クリストファー・ノーラン監督の『オデュッセイア』が9月11日、ついに日本で公開を迎えた。その前日、グランドシネマサンシャイン池袋のIMAXシアターで開かれた上映イベントに、岩田剛典、平愛梨、そしてマット・デイモンの日本語吹替を務めた平田広明がサプライズで登壇した。(フロントロウ編集部)

観客には知らされていなかった3人

IMAX、Dolby Cinema、MX4D、35mm、2D吹替の5つのフォーマットが一挙にそろう、公開前日の「TOKYOプレミア」の開催が決まったのは先日お伝えしたとおり。その当日、9月10日の池袋では、観客に登壇者の名前が伏せられたまま「シークレットゲスト登場」とだけ告知されていた。SNSではゲスト予想で盛り上がっていたという。

超満員のIMAXシアターに姿を現したのは、大のノーラン監督ファンとして知られる岩田剛典、女優・タレントの平愛梨、主人公オデュッセウスの吹替を担当した声優の平田広明の3人。岩田は『ダンケルク』(2017)でノーラン監督と直接対面し、『TENET テネット』(2020)ではインタビューも試みた経験の持ち主だ。この日は「今日はノーラン監督のファンの一人として来ました」と切り出した。

真っ暗な画面に、丸く抜かれた顔

会場をいちばん驚かせたのは、デイモンの声を担う平田広明が明かした吹替の舞台裏だった。ノーラン作品らしく、アフレコ段階でも映像の管理は徹底されていたらしい。

「セキュリティがとても厳しいので、真っ暗な映像を見ながら吹替をしていて、自分のセリフが出てくるときだけそのキャラクターの顔が丸く抜かれるんです」

オデュッセウスが戦っていることはなんとなくわかる、という状態で声を吹き込み、完成版を見て初めて「こんな映画だったのか!」とスケールの大きさに驚いたという。挨拶では「私個人は字幕で観る方が好きなのですが、日本語版吹替の宣伝をしてこい!と言われたので」と笑いを誘っていた。

『オデュッセイア』TOKYOプレミアIMAX上映イベントに登壇した平田広明
© 2026 UNIVERSAL STUDIOS

平田はデイモン本人についても語った。ノーラン監督からのオファーを台本を読む前に受け、しっかり体を作って撮影に臨んだものの、想像の斜め上をいく大変さだったという話を聞いたそうだ。デイモンとは「一方的に長い付き合い」だという平田は、「派手ではなく堅実な、すべてリアルなお芝居に引き込まれます」とその演技に惚れ込んでいる。戦う派手なシーンの一方で、ペネロペと話す静かな場面のわずかな表情の変化が沁みてくるとも話した。

『オデュッセイア』でオデュッセウスを演じるマット・デイモン
photo by Melinda Sue Gordon (C) Universal Studios. All Rights Reserved.

お気に入りのキャラクターを聞かれると、ジョン・レグイザモが演じる忠実な部下エウマイオスの名を挙げつつ、本当の一番は20年間オデュッセウスの帰りを待っている番犬だと答え、リピーターの多い客席から納得の声があがった。

岩田剛典が感じた「ノーランっぽくなさ」

ノーラン作品は全作観ているという岩田は、初見の感想を「ノーランっぽくないなと感じたんです」と振り返った。これまでの作品は難解で、1回観ただけでは全部わからず、もう1回観たときに新しい視点が得られるのが楽しみ方だったが、今回はわかりやすい。次に何が起きるのかを語りながら、それでも想像を超えてくる。岩田はそこに、古代ギリシャの物語をノーラン節で描いた本作ならではの面白さを見ている。

「一番王道のエンタメを表現している作品なのかもしれないと思いました」

世界的なヒットの理由については、子どもから大人まで楽しめるストーリー展開と、極力CGに頼らない「そこに存在しているリアリティ」を挙げた。キャラクターではデイモンの肉体の説得力を称えたうえで、ロバート・パティンソンが演じるアンティノオスについて「小悪党なのですが」役がぴったりハマっていたと付け加えている。

平愛梨がペネロペに重ねたもの

平が登壇したのは、夫の帰還を20年間信じて待ち続ける妻ペネロペ(アン・ハサウェイ)の視点と、自身の境遇が重なるからだ。夫は長年海外でプレーするサッカー選手の長友佑都。練習に行くと言って出かけた夫がどこで何をしているかはわからない。それでも自分の決断と相手を信じたい、という話の最後に、平はこう続けた。

「この作品を観て、私の答えが見つかったと感じました」

IMAXで鑑賞した感想は「呼吸するのを忘れるくらいずっと心が揺さぶられました」。子ども4人の母でもある平は、見たら一目でわかる”あるキャラクター”を挙げ、子どもたちを寝かしつけるときに現れてくれないかと考えていると笑わせた。

日本は最終公開地、6種9バージョンで上映

『オデュッセイア』の全世界興行収入は、9月9日時点で16億3800万ドル(約2654億円)を突破。日本は最終公開地で、9月4日から始まっていたIMAX先行上映も、オープニング3日間で動員50,818人、興行収入115,618,060円と、『Michael/マイケル』のIMAX先行上映の実績を上回った。チケット予約サイトが不具合を起こした劇場もあったという。

日本では2D(字幕/吹替)、IMAX、Dolby Cinema、4DX、MX4D、35mmの全6種9バージョンで上映され、35mmフィルムでの上映は全国3劇場のみ。登壇した3人の好みもきれいに分かれ、岩田は「没入感のある映画なのでやっぱりIMAX」、平は平田に会えたことで次は吹替版を観たいと話し、吹替版で観た平田は、以前4Dで顔に水が降ってきて少し恐怖症になったため、克服のためにも4Dで観たいと明かした。

平田は最後に、字幕は全体の3割しか訳せないが吹替は9割表現できると言われている、と吹替版を推したうえで、吹替で観てから字幕に戻ると二倍も三倍も楽しめるはずだと呼びかけた。真っ暗な画面の前で声を吹き込んだ人の言葉だと思うと、その楽しみ方にも説得力がある。

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