ヴェネツィア国際映画祭2026の受賞結果、日本で見られる作品は?公開・配信予定まとめ


第83回ヴェネツィア国際映画祭が伊時間9月12日に閉幕し、最高賞の金獅子賞はマイ・エル=トーキー監督の『Woman Unknown』に贈られた。受賞結果の一覧と、受賞作・話題作を日本でいつ・どこで見られるかをまとめてご紹介。(フロントロウ編集部)
受賞結果一覧
9月2日から開催された今年のヴェネツィア国際映画祭は、コンペティション部門に21作品が出品され、女優で映画監督のマギー・ギレンホールが審査員長を務めた。ヴェネツィア国際映画祭の公式発表による主な受賞結果は以下のとおり。
- 金獅子賞(最高賞): 『Woman Unknown』(メイ・エル=トーキー監督)
- 銀獅子賞(審査員大賞): 『もしもの愛』(イ・チャンドン監督)
- 銀獅子賞(監督賞): イリヤ・フルジャノフスキー(『DAU』)
- 審査員特別賞: 『NAZA』(ユヴァル・アブラハーム、レイチェル・ゾア監督)
- 脚本賞: ステファヌ・ブリゼ、コラリー・アメデオ、オリヴィエ・ゴルス(『A Good Little Soldier』)
- ヴォルピ杯 最優秀男優賞: ジョン・マルコヴィッチ(『ワイルド・ホース・ナイン』)
- ヴォルピ杯 最優秀女優賞: マティルド・アーセル(『Woman Unknown』)
- マルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞): マルー・ケビジ(『15/18(英題: A Place to Heal)』)
金獅子賞に輝いた『Woman Unknown』は、デンマーク・スウェーデン・ラトビア合作のミステリー。解放直後のデンマークを舞台に、第2次世界大戦中にドイツ兵と関係を持っていた過去を抱える若い乳母兼家政婦が、雇用主との結婚を前に、その過去に追い詰められていく物語だ。今年のコンペティションで唯一の女性単独監督作であり、主演マティルド・アーセルの女優賞と合わせて主要2冠を獲得。
英Reutersによると、マイ・エル=トーキー監督は授賞式のスピーチで、本作について「女性の身体が戦場であり、公の問題でもあること」を描いた映画であり、同時に「目に留まらず、声を持たない女性たち」の物語だと語った。なお、日本公開は現時点で未定となっている。
日本から出品された2作品の結果は
今年のコンペティションには日本から2作品が出品されていた。是枝裕和監督が藤本タツキの漫画を実写映画化した『ルックバック』と、塚本晋也監督がベトナム帰還兵の実話を描いた『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』だ。コンペティションでは2作とも受賞を逃したものの、『ルックバック』は映画祭期間中に発表される独立賞(Collateral Awards)のシネマ&アーツ賞の最優秀作品賞、SIGNIS賞、チネマサラ賞の最優秀作品賞と3つの賞を獲得。『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』も、独立賞のレオンチーノ・ドーロ賞(金の小獅子賞)を日本作品として初めて受賞した。
『ルックバック』は現地プレミアで12分を超えるスタンディングオベーションを受けた作品。海外メディアでは評価が分かれ、米Varietyのジェイ・ワイスバーグ氏が「友情への感動的な賛辞」と好意的に評し、米IndieWireのデビッド・アーリック氏もB+の評点を付けたのに対し、米The Playlistのマーシャル・シェイファー氏は評点Cで「砂糖ばかりで、栄養がない」と手厳しかった。日本ではどちらも9月11日から劇場公開中。『ルックバック』については、映画祭での高評価と海外メディアの賛否を、実際にスクリーンで確かめられる。
受賞作・話題作を日本で見る方法
ここからは、コンペティション出品作のうち、注目作の日本での公開・配信予定を紹介。閉幕時点で、日本での劇場公開または配信が発表されているのは21作品中5本で、そのうち2本はすでに公開されている。
| 作品 | 監督・主な出演 | 日本で見るには |
|---|---|---|
| 『ルックバック』 | 是枝裕和監督/出口夏希、蒔田彩珠 | 全国公開中(9月11日〜) |
| 『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』 | 塚本晋也監督/ロドニー・ヒックス、リリー・フランキー | 全国公開中(9月11日〜) |
| 『もしもの愛』 | イ・チャンドン監督/チョン・ドヨン、ソル・ギョング | 10月23日から一部劇場で先行公開、11月6日からNetflixで世界配信 |
| 『ワイルド・ホース・ナイン』 | マーティン・マクドナー監督/ジョン・マルコヴィッチ、サム・ロックウェル | 2027年1月29日に劇場公開 |
| 『PRIMETIME』 | ランス・オッペンハイム監督/ロバート・パティンソン | 2027年に日本公開決定 |
| 『Woman Unknown』 | メイ・エル=トーキー監督/マティルド・アーセル | 日本公開未定 |
| 『Ink』 | ダニー・ボイル監督/ガイ・ピアース、ジャック・オコンネル | 日本公開未定 |
| 『Bunker』 | フロリアン・ゼレール監督/ペネロペ・クルス、ハビエル・バルデム | 日本公開未定 |
| 『NAZA』 | ユヴァル・アブラハーム、レイチェル・ゾア監督(ドキュメンタリー) | 日本公開未定 |
| 『Bucking Fastard』 | ヴェルナー・ヘルツォーク監督/ケイト・マーラ、ルーニー・マーラ | 日本公開未定 |
| 『Company』 | ケイシー・アフレック監督/ニック・ノルティ | 日本公開未定 |
受賞作のうち、配信で最も早く見られるのは、審査員大賞の『もしもの愛』。『バーニング 劇場版』のイ・チャンドン監督が8年ぶりに手がけた長編で、チョン・ドヨンとソル・ギョングが出演する。10月23日から一部劇場で先行公開されたのち、11月6日からNetflixで世界独占配信される。審査員大賞受賞作を自宅でも見られる、今年のラインナップのなかでアクセスしやすい1本となる。
全国規模の劇場公開でこの次に控えるのは、マーティン・マクドナー監督がイースター島を舞台に描くCIAものの『ワイルド・ホース・ナイン』。日本公開日はすでに2027年1月29日と発表されている。主演のジョン・マルコヴィッチは、本作で自身初となるヴォルピ杯男優賞を手にした。
ロバート・パティンソンが実在のジャーナリストであるクリス・ハンセンを演じ、米NBCの潜入取材企画「To Catch a Predator」が人気番組へ成長する過程と、その舞台裏を描くA24作品『PRIMETIME』も、2027年の日本公開が決まっている。
24分半の拍手を受けた作品も、日本公開は未定
一方、現地で大きな反響を呼んだ作品のなかには、日本での公開がまだ決まっていないものもある。イスラエル軍や情報機関に所属した24人の匿名証言をもとに、AIを使った攻撃目標の選定など、ガザでの軍事作戦の実態を追ったドキュメンタリー『NAZA』は、審査員特別賞を受賞。米Varietyによると、プレミア上映後に24分半のスタンディングオベーションを記録し、昨年『ヒンド・ラジャブの声』が記録した約22分を上回る、同映画祭史上最長の拍手となったが、日本公開は決まっていない。ペネロペ・クルスとハビエル・バルデムが夫婦役で共演したフロリアン・ゼレール監督のスリラー『Bunker』や、ダニー・ボイル監督がメディア王ルパート・マードックの若き日を描いた開幕作『Ink』も、現時点で日本の配給は発表されていない。
そして金獅子賞『Woman Unknown』も、日本公開は未定のまま。ヴェネツィアは例年、アカデミー賞へと続く賞レースの起点になってきた映画祭だけに、受賞を追い風にした配給決定の動きに注目したい。
















