クロミの誕生日ケーキ注文に800語超のAI長文、店主が悲鳴


クロミのバースデーケーキを注文するために送られてきた800語超の「AI注文書」に、ロンドンのケーキ店のオーナーが音を上げた。そこで打ち出した新たな注文受付ルールがSNSで拡散され、賛否を呼んでいる。(フロントロウ編集部)
ケーキ1台の注文に800語以上
話題になっているのは、ロンドンでケーキ店「アンジュ・ドゥ・シュクル」を営むレシュミ・ベネットさん。米TODAYによると、ベネットさんは10月15日、WhatsApp経由で届いた注文に関する問い合わせの一部をInstagramで公開した。
依頼内容は、13歳の子どもの誕生日パーティーで提供する、サンリオのクロミをテーマにした2段ケーキ。10人分のバニラケーキを注文する内容だったが、文面は800語を超え、10項目に分かれていた。「味とフィリング」の項目だけで63語を費やしていたものの、要望は「すべてバニラで」というもの。ハートは「ランダムに、でも考え抜いて」配置し、デコレーションは「上品だが控えめに」といった細かな指定に加え、AIで生成された参考画像まで添えられていたという。
ところが、肝心の予算は記載されていなかった。ベネットさんが何度も尋ね、ようやく聞き出した予算は100~150ポンド。同店のオーダーメイドケーキは1段で300ポンド、2段で650ポンドからとなっており、提示した見積額は約600ポンドだったため、客は注文を見送った。ベネットさんは、この長文を読むのに70分かかったと明かしている。
「予算1ポンドにつき1語まで」
そこでベネットさんが打ち出したのが、「注文内容の説明に使う語数は、予算のポンド数を超えてはならない」というルール。予算が100ポンドなら100語までという計算だ。さらに、AIがよく使う「しっとりとしておいしい(moist and delicious)」という表現は英語で3語に相当するため、言葉は慎重に選ぶようにと、皮肉を交えて呼びかけた。
投稿には「人は自分で考えて文章を書くことを放棄してしまった」と共感する声が集まる一方、「予算の少ない人は説明する機会も少なくていいということか」「英語が得意でない人がAIの助けを借りただけかもしれない」と、店側を批判するコメントも寄せられた。
問題は「AIを使ったこと」ではない
ベネットさん自身、客が持ち込んだAI生成画像をもとにケーキを制作した経験もあり、AIそのものを否定しているわけではない。問題視しているのは、送信者が内容を読み返すこともなく、受け取る側に長文を押しつける行為だ。TODAYの取材に対しても、「問い合わせはとにかく冗長で、意味の薄い言葉ばかり」と語っている。
ケーキの注文は本来、楽しいものであるはずだ。AIを使ってわずか数秒で作成した文章を、受け取る側が何時間もかけて読み解かなければならないのはおかしい、というのがベネットさんの主張だ。
日本生まれのキャラクターをテーマにしたケーキの注文から始まった今回の騒動。メールや問い合わせの文章作成をAIに任せる人が増えているいま、受け取る側の負担まで考慮できているか、AIの使い方を見直すきっかけになった人もいるかもしれない。

















