ついに本日(2月27日)開催される、第59回アカデミー賞授賞式。毎年大きな注目をあつめる授賞式だけれど、これまでのアカデミー賞とは大きく異なる違いが。そのポイントとなっているのは、やはり、あのドナルド・トランプ米大統領だった。
最近では、アカデミー賞最多19回のノミネート歴をもつ女優メリル・ストリープが、ゴールデングローブ賞の受賞スピーチでトランプ氏の差別的な言動を批判。それを受けトランプ大統領が、「過大評価の女優め!」と反論した騒動は、世界中で大々的に報道された。
では、今年のアカデミー賞に一体何が起こっているのか。トランプ政権に揺れる今年のアカデミー賞の3つの注目ポイントをご紹介します。
1 入国禁止令でイラン人監督が授賞式欠席
トランプ大統領は就任早々、イランを含むイスラム圏7ヵ国からの入国を禁止する大統領令を発令。そのため、アメリカの空港では多くの人々が入国拒否や拘束されることとなった。
この政策に即座に反応したのが、ハリウッドだった。アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされている映画『セールスマン』の主演女優タラネ・アリシュスティは、1月26日、トランプ大統領の制作が人種差別的だとして、ツイッターで授賞式をボイコットすると宣言。
また『セールスマン』からは、監督アスガル・ファルハディも抗議のために授賞式をボイコットする意向を表明した。
こういったセレブたちは、ハリウッド最大のイベントであるアカデミー賞をボイコットすることを通して、トランプ大統領の政策に反対するというメッセージを社会に伝えようとしている。
2 授賞式前のパーティー中止
また、ボイコットを表明した『セールスマン』のアスガル監督が所属する米大手芸能事務所のユナイテッド・タレント・エージェンシー(UTA)も、毎年行っていた授賞式前のパーティーを中止してその費用を人権団体に全額寄付することを発表。
UTAには女優のアンジェリーナ・ジョリー、俳優のハリソン・フォードなど多くの著名人が所属しており、これまで豪華なパーティーを催してきた同事務所がこのような動きを見せるのは、きわめて異例。さらに、パーティーの代わりに抗議集会を開く予定だとも伝えられている。
3 黒人最多6人ノミネート
昨年の授賞式では、ノミネートが発表されると、ネットでは「白人ばかりがノミネートされている」と批判が殺到。主演男優賞・女優賞などにノミネートされたのは、映画『レヴェナント』のレオナルド・ディカプリオや映画『ルーム』のブリー・ラーソンなど、すべて白人のキャストだった。
そのため、黒人の監督であるスパイク・リーや、黒人女優のジェイダ・ピンケット・スミスらが授賞式をボイコットすることを発表。「白人中心」のハリウッドに大きな批判が集まることとなった。
そんな昨年の状況を受けてか、今年のアカデミー賞には史上最多となる6人の黒人の俳優・女優が、主演男優賞などの主要部門にノミネート。さらに、今年は映画『ラ・ラ・ランド』が大本命とされてきたが、ここにきて、人種や貧困をテーマにした作品『ムーンライト』にも、注目が集まっている。
そんななかでトランプ大統領の入国禁止令が発令されたとあり、改めて「多様性」を求める動きが活発化。授賞式でのセレブのスピーチも、政治色が強くなることが予想される。