ジョニーの『ファンタビ』出演への不満の声が高まる
映画『ハリー・ポッター』の新シリーズ第1作目として2016年に公開され、世界中で約900億円の興行収入を記録した大ヒット映画『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』。
同シリーズの第2作目となる『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』の日本公開が2018年冬に決定し、ファンたちが心待ちにしている。
そんななか、次回作に重要なキャラクターのゲラート・グリンデルバルド役として登場する俳優のジョニー・デップの出演に関して、一部のファンたちから不満が噴出している。
過去のDV疑惑が影響
その背景にあるのは、2015年にジョニーが元妻で女優のアンバー・ハードへのDV疑惑で訴えられたというスキャンダル。
当時、アンバーが「ジョニーに暴力をふるわれた」と、顔にできたアザや激昂したジョニーが家の中で暴れまわる様子を収めた動画をもとに、裁判所にジョニーに対する接近禁止令を申請。お互いのキャリアを窮地に追い込みかねない泥沼離婚劇へと発展した。
最終的にはジョニーがアンバーに慰謝料として7億円支払う形で示談となったため、DVの有無については不明なままとなっている。
2016年の秋にジョニーの『ファンタビ』へのキャスティングが正式発表になった当初から、「彼は相応しくない!」、「別の俳優に変更するべきだ!」と批判の声が上がっていたが、ハリウッドを震撼させたセクハラ騒動の煽りを受け、最近になり、その声は一層大きくなっている。
監督がジョニーを擁護
これに対し、『ファンタビ』続編の監督を務めるデヴィッド・イェーツ監督は、11月に行われた米Entertainment Weeklyとのインタビュ-で以下のように語り、ジョニーを擁護している。
「今はたくさんの人が告発されているという問題があります。彼らは複数の被害者に告発されており、それは説得力があり、非常に恐ろしいことです。ジョニーの場合、彼の行いについて何かしらの主張をしたのは1人だけです。私は自分が毎日会って接している彼の姿からしか話すことができませんが、彼は良識と親切さに溢れていて、私にとっては彼はそういった人物にしか見えません。ジョニーはいかなる形においても(セクハラで複数の女性から告発されている男性たちとは)同じカテゴリーの人物ではありません」
原作者もジョニーを擁護
そしてこれまで、ファンたちに疑問を投げかけられても口をつぐんできた、シリーズの原作者である女性作家J・K・ローリングがついにこの問題に言及。
自身のウェブサイトに公式声明を掲載し、ジョニーの配役について、今後、変更の予定は無いと断言した。
彼女の声明の全文訳は以下の通り。
ジョニー・デップがグリンデルワルド役にキャスティングされたとき、彼は最高の演技を見せてくれるだろうと思いました。しかしながら、第1作目の彼のカメオ出演のシーンを撮影するのと時期を同じくして、例の報道が出てきました。私自身もシリーズに深く関わる人々にとっても非常に気にかかるニュースでした。
『ハリー・ポッター』シリーズのファンたちからは、ジョニーの続投について正当な疑問や不安の声が寄せられました。これまで長きに渡りシリーズを手がけてきたデヴィッド・イェーツ監督も述べたように、キャスティング変更の可能性について検討しました。私には、なぜ一部の人々が困惑しているかということも、配役が変更されなかったことに怒りを覚えていることも理解できます。
『ハリー・ポッター』シリーズを中心に、人々がお互いを支え合うとても大きなコミュニティが生まれたことは、私の人生における最大の喜びの1つです。私個人としては、今回の件について正直にファンたちに打ち明けられることができなかったことは、つらく、いらだたしく、そして時には苦痛でした。しかしながら、2人の人間(ジョニーとアンバー)がプライバシーを守り、それぞれの人生において前に進むため合意に至ったということは尊重されなければなりません。私たちの状況の理解に基づいて、映画制作スタッフと私は、これまで通りのキャスティングに満足しているだけでなく、ジョニーがこの映画の重要な役どころを演じてくれることを心から嬉しく思っています。
私にとって、最初の2作の脚本を執筆するのは楽しくて仕方がありませんでした。そして、『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』をファンのみなさんにを観ていただく日を待ち遠しく思っています。ジョニーがメインとなる役を演じることに不満を持つ人々がいるであろうという事実は受け止めます。しかし、道義心というのは議会で決められるものではありません。架空の世界では、そして現実の世界でも、私たちは自分が正しいと信じることをするしかないのです。
ジョニーのキャスティングについては、SNS上にネガティブなコメントが書き込まれたり、作品のボイコットを呼びかける声まで上がっていた。監督と原作者がそろって彼を擁護したことで、果たして、今後、この騒動は収束へと向かうことになるのだろうか。
※この記事は一部表記を修正しました。